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◆4.東京

三月も中旬に入り、私は新しい生活の準備をする為、優生を実家の母に預け、単身で東京へ向かった。


私には、優生の幼稚園の申し込みや、その他やらなければならないことが山積みにある。

聡の方といえば、仕事の引継ぎに追われ、一緒に準備をする暇など全くない状態だった。


東京での新しい住まいは、私が思っていたものとは全く違っていた。


会社の人が優生がいるから、気を利かせてくれたのだろうか?


近くに公園、川沿いには長い桜の並木道があり、子供と一緒に暮らすには十分な環境だった。


私は、自分が持っていた変な拘りが、馬鹿馬鹿しくなって、新しい住処で、家族3人一緒に過ごす楽しい時間を想像しながら、一人黙々とダンボールの中の荷物を片付けた。


ガランとしたただの空間でしかなかった場所は、時間が経つにつれて、人の住める場所へと徐々に変わっていった。


荷物もある程度片付いた頃、聡もようやく東京に来ることができた。


しかし、頼りになるはずの聡は、本社での打ち合わせが忙しく、ほとんど顔を合わせることも無く毎日が過ぎていった。


すれ違いの毎日・・・。


私は淋しさが募り、優生の顔を早く見たくなって、実家の母に電話をした。


「優生どうしてる?」

「優生やったら、いい子やよ。今お父さんと散歩に行っとるけどね」

「そう。迎えに行こうかと思って」

「もうそっちは、片付いた?」

「うん。一応ね」

「私がそっちに連れて行くわ。あんたらの新しい家も見てみたいしね。玲香もいろいろすることもあるやろうから、片付けてしまいなさい」


私は『幼稚園の終業式が終わるまで』と、優生を実家の母に頼んであったのだが、母の気遣いもあり、3月末まで見てくれると言ってくれた。

私は、そのまま母にお願いすることにした。

母に頼んでおきながらも、まだ数日、優生に淋しい思いをさせてしまうと思うと、罪悪感で心が痛んだ。

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