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◆48.聡と雅弘

優生と手をつなぎ、マンションまでの道を歩く。


いつもと同じなのに、なんだか今日は心が軽い。


マンションへの曲がり角に差し掛かると、優生は急に走り出した。

「パパー!!」

そこには聡の姿があった。

私は優生の後を追うように走り出す。

息を切らした私に

「玲香まで走ってこなくったっていいだろうが」

聡は呆れたようにそう言った。


「もうでるの?」

「おぉ」

真っ青な空に聡の返事が心地いい。


(金沢にいるときは、こうして3人で散歩することもあったな・・・・)


遠い昔を思い出すように、私は空を見上げた。

「何やってるんだ、置いてくぞ!!」

優生は嬉しそうに、聡の手を握った。


「どこ行きたい?」

「あのね、ようちえんのちかくに、おおきいきがいっぱいあって、かわもながれてるよ」

「そっか、じゃ、そこ行くか」

聡と優生はどんどん前へと進んだ。


優生が行きたい場所、それはあの並木道。

私が初めて雅弘に出会った場所。


「おい。玲香遅いぞ」

「ママー」

優生は私に手招きをする。


「はい。今行くから」

私は二人の元に走り出す。


(周りから見たら、私達は普通の家族に見えるだろうか?ついこの間まで、思いやりのかけらもなかったそんな私たちが、幸せな家族に映っているのだろうか?)


楽しそうにはしゃぐ優生の姿を見ると、胸が痛む。


私はその想いを振り放すように、二人のところまで駆け足で進んだ。



並木道では、何人かの子供たちが、鬼ごっこをして遊んでいた。


「東京にもこういうところ、まだあるんだな」

空を見ながら、聡が呟く。

「パパ、もっとあっちいこう」

優生が聡の手を引く。

「ママもおいで」

優生の小さな手が私の手をぐいっと引っ張った。

「はいはい・・・」

小さな手が可愛くて暫く眺めながら進んだ。


「カノン。ひっぱっちゃダメ!!」

遠くから男の子の声が聞こえた。

目を凝らして見た先には敬音が見える。

そしてその後ろには、雅弘。


私は、引き返したくなった。


「ねえ、あのわんちゃん可愛いよね」

聡を見上げて優生が言った。

「そうだな。優生も犬がほしいか?」

優生はそっと首を横に振った。

「じゃ、何が欲しい?いってみな?」

優生は聡を上目遣いで見上げながら

「あのね、いもうとかおとうとがほしい・・・」

聡は優生の答えに少しモゾモゾしながら

「そっか、優生も兄弟が欲しいのか」

大声でそう言いながら笑った。

私は二人の会話を少し遠くで感じていた。


真っ直ぐ前に進めば、間違いなく雅弘たちとすれ違う。

私は目を伏せるように、前に進んだ。


「なあ、兄弟、考えてもいいと思うんだ。どう・・・」

聡が言いかけた時、すぐ側に雅弘の姿があった。

「わんちゃん、かわいいね」

優生が、雅弘たちの側に駆け寄った。


「触ってもいいですか?」

聡も慌てて優生の側に行き、そう尋ねた。

「いいですよ」

雅弘は、私を見ながら笑顔を作った。


私は真っ直ぐに雅弘を見ることができなかった。

聡への後ろめたさと、雅弘への気持ちが交互に私を押し潰そうとした。


それから、どの位時間が経ったのだろう。

優生はようやく撫でていたカノンから手を離し

「パパ。いこうよ!!」

そう言って、聡のシャツの裾を引っ張った。

「ありがとうございました」

聡は雅弘にそう言うと、軽く会釈をした。

「いいえ」

雅弘はそう言うと、敬音の手を引き私たちから離れていった。


「そういえば、どっかで見たことあるって思ってたけど、五十嵐雅弘だよな」

聡は、嬉しそうにそう言った。

「ウン。そうだね」

「この近くに住んでるんだな、あの感じじゃ」

「うん」

私はただ聡の会話に相槌を打つことしかできなかった。

これから、色々な展開を考えております・・・が、

上手くまとまらず、ダラダラしてしております。

最後までお付き合いいただけると嬉しいです。

また、感想などいただけますと励みになります。


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