表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/127

◆46.迷い

私は優生と幼稚園の門の前間で送ると、そのままお店へと方向を変えた。


今日のような聡が毎日続いてくれたなら、どんなに心が楽だろう。


違う・・・。


聡が優しくなればなるだけ、私の中の罪の意識は大きくなっていく。


私の罪は決して許されるものではない。



その時、携帯が鞄の中で震えだした。

私は慌てて携帯を取り出し、確認する。


雅弘からの電話だ。


(このまま出ないでおこうか・・・)


今朝の家族3人での光景がフラッシュバックする。


(でも、雅弘の声が聞きたい!!)


葛藤の中、私は、携帯のボタンを押す。


「もしもし」

「よかっった。出てくれて」

雅弘の声はいつになく温かい。

「ねえ。最近なんだか僕に冷たいのはどうして?」

単刀直入の雅弘の質問に言葉がない。

「いいんだよ。でも、ちょっと淋しかったから」

雅弘の声のトーンが低くなる。

「ごめんなさい。私、家のほうがバタバタしてて」

雅弘は黙って聞いている。


「あのさ、何か欲しいものはないの?」

突然の質問に答えが見当たらない。

「どうしたの?突然?」

「うん。もうすぐ君の誕生日・・・じゃない?」

私は、自分の誕生日が近づいていることをすっかり忘れていた。

「嬉しいけど、何にもいらない」

「どうして?」

「・・・・」

「遠慮しないで、君の欲しいものあったら教えて」

「ありがとう」

私は、聡のことを思い浮かべていた。

聡は私の誕生日を覚えていてくれてるだろうか?

「じゃあ、何かあったらメールしてね」

雅弘はそう言うと、


「ちょっと待って」

「うん」

「玲香、愛してる」

雅弘の甘い言葉が心地いい。

「私も愛してる」

「嬉しいよ。君に出会えて」

雅弘はそう言って

「じゃあ、切るね」

私は雅弘への想いが大きくなる前に、電話を切りたかった。

「うん。じゃ・・・・」

彼の返事と共に私は携帯を閉じた。


私にとって雅弘と聡は夢と現実。

ぐるぐると目の前を回りながら、私は迷路に迷い込む。

この迷路に出口ははい。

きっとない。


私は、モヤモヤした気持ちを一緒に連れて、お店へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ