表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/127

◆16.久しぶりの再会

朝の日差しが、私の顔優しくをくすぐるように照らした。


今日は優生が東京に来る。

ようやく3人で新しい生活をスタートさせることが出来る。


昨日までの私は、少し変だったのかもしれない。

東京に来て、環境が変わり、何もかもが不安の中で送ってしまった日々。

聡の態度で、毎日を淋しく感じてしまっていた。

その淋しさが私に変な妄想を見せたのだろう。


私は布団をパッと捲り、勢いよくベッドから起き上がろうとした。

「痛っ!!」

昨日バイクとぶつかった膝が、ズキンと音を立てて痛んだ。

痛い足をかばう様に、ゆっくりと引きずりながらベッドから這い上がる。

「起きたのか?」

聡が私の姿を見てさらりと言った。

「うん。おはよう」

そう言うと私の足を見て、

「昨日転んだのか?よく転ぶんだな」

少し呆れたような顔をした。

「うん。散歩のときに逃げられそうになって・・・」

私は昨日の出来事を隠し、とっさに違うことを言う。


昨日は聡が0時を過ぎても帰らず、先に寝てしまっていたから、昨日の真実は知らないのだ。


私は聡に嘘をついた。

何故なのかはわからない。


「このままじゃ直にクビだな」

聡の言葉に私はただ笑うしかなかった。


お昼過ぎ、母から『東京駅に着いた』と連絡が入った。


私と聡は逸る気持ちを押さえながら、二人で駅まで向かった。


駅に着くと、母と優生は、辺りをキョロキョロしながら、私たちの迎えが来るのを待っていた。

「優生、なんだか大きくなった気がしない?」

聡は黙って頷いて

「優生。お母さん!!」

二人の方に手を振りながら、大きな声で呼んだ。

優生は私たちに気がついて、こっちに向かって、小刻みに左右の足を前進させながら駆けてきた。

それを見ていた聡も、優生に向かって駆けて行く。

聡は優生を抱き上げ、久しぶりの娘の柔らかい感触をしっかりと確かめているようだった。

私は二人の様子を確認すると、慌ててその場所に向かった。


久しぶりの再会。

そしてこれから始まる3人での生活。

それをこれから大切にしよう。

そう心に誓い、マンションへと戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ