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行く末に。

作者: 燈夜

 君の夢を見た。

 久しぶりに君が出てきた。

 君は僕に言ったね。

「私はここにいるよ」と。

 僕は信じている。

「君にはまだやらなきゃいけない事があるから」と君は続けた。

 だから、僕はまだ足掻き続ける。

 泥水を啜って。

 屈辱に耐えながら。

 人の目を盗んで。

 あるいは堂々と喝破して。

 それでも僕は自分の道を曲げない。

 僕は間違っているかもしれない。

 僕は社会からすると必要の無い存在かもしれない。

 だけど僕はそれで良いと思う。

 君は僕を認めてくれた。

 ありのままの僕を認めてくれた。

 僕はそれに満足している。

 君の時間は止まっている。

 僕に心の変化が訪れるとき、それは君はまた夢に出てくる時だろう。

 そのとき、僕は迷うかもしれない。

 君はそんな僕を見て、なんと言うだろうか。

 励ますだろうか。

 泣くだろうか。

 懇願するだろうか。

 哀願するだろうか。

 怒りに身を任せるだろうか。

 僕にはわからない。

 だけど僕は歩み続ける。

 君からのメッセージは今だ変わらない。

 だから、僕の行動原理は唯一つだけだ。

「君にはまだやる事がある」

 これは君からの僕に対する最期のメッセージ。

 僕はこれ以上の話を君から受け取っていない。

 僕は君に相応しい人間になる。

 後ろ指を差されようと、卑怯者と罵られようと、僕は僕の思う道を行く。

 これは僕と君との誓いだ。

 僕と君の約束、契約だ。

 君はそこで待っていてくれ。

 分かれ道で待っていてくれ。

 僕がいつか力尽き、そこにたどり着く頃、二人で道を決めよう。

 天国か地獄か。

 僕も君も悪人だ。

 僕にも君にも地獄のほうが相応しいとは思うが、そのときは君の意見がもう一度聞けるはずだと信じている。

 でも、たまには夢に出てきてくれ。

 僕に新しい言葉を掛けて来てくれてもいい。

 たまには君の言葉を聞きたいこともあるんだ。

 弱い僕を笑ってくれ。

 もし、その気があるのなら、君の言葉を待っている。

 そのときは君の意向に沿うよう、努力しよう。

 僕はすでに君のものだ。

 今の僕は余生を生きているに過ぎない。

 いわば、おまけだ。

 君のいない世界なんて、色の無いおまけに過ぎない。

 だから僕は君の言うように「やらなきゃいけない事をやる」。

 必ずだ。

 完遂して見せよう。

 世界が敵になろうとも、僕は負けない。

 全てを敵に回してでも、僕は戦いを止めない。

 それが、君が「好きだ」と言ってくれた僕の姿だから。

 僕は道化だ。

 だが、演じてみせる。

 演じきって見せよう。


 我が魂の行く末に勝利を。

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