2/0決意、街へ。
微睡みの中ソウは起き上がる。
自分の置かれた状況を確認する、
亡者の王によって、
生魔反転の魔術を
掛けられて、自分が生者と亡者の
狭間のモノになった事を
ソウは立ち上がると、
近くに聞こえる水辺の元に行き
水面を見た。
するとそこには銀色の髪に
翠色の眼。そして異常に白い肌が写った。
その事実に愕然とし、項垂れるが
自らの目的の為に生きる事を決意する。
「俺は、帰る。」
ソウは揺れ動く水面を見て、
何度見ても変わらぬ容姿に決意を表す。
「人間に戻って、必ず、帰る。」
そうして、覚悟を決めると
続けて生きる術ーー魔術が使用できるか
を確認をする。
ソウは集中する。
すると体内にある魔力を以前と
比べ容易く動かせる様になっていた。
人間よりから魔物寄りになった効果
だろうか?考えても不明だ。
そう思い、取り敢えず
この森から出るために歩き出す。
ソウが歩いていると
突然悲鳴が聞こえ何事かと思い
声の聞こえた方に走ると
そこには魔物に襲われてる少女が居た。
少女は悲鳴を上げ助けを求めながら
魔物に向かい時折弓を打ち牽制しながら
逃げている。だが今一効果が無いのか
魔物は矢を躱しながら少女の元へ
走って行く。
四足歩行の狼型の魔物相手に
弓は厳しいだろ。
ソウは考えながら少女が不利なのを
思い、助ける事を決めた。
ソウが茂みから飛び出すと
魔物は一斉に此方を向き
威嚇をする。
「助かった!」
少女は安堵の表情を浮かべると
続けて言う。
「貴方は冒険者よね!?
私はアイリス、ちょっと手に負えないから助けて!」
アイリスはそれだけ言うと
魔物に向き直りソウの方に向いてる
注意を矢を打ち逸らし、此方に
合図する。
ソウはすかさず集中し、魔術を唱える。
「風の衝撃」
ソウの放った魔術は魔物に当たり
魔物は絶命する。
その事に呆気なさを感じていると
アイリスが近付いてきて話し掛けて来た。
「助けてくれてありがとう。
良ければ名前を聞いて良い?」
アイリスは溌剌とソウに話し掛ける
「俺の名前はソウ。別に良いよ」
「そっか!、ソウって言うんだね。
改めてありがとう!」
アイリスは笑顔でお礼を言う
するとアイリスは思いついた様に
言い出した。
「私はこれから街に戻るけど
ソウも良かったら一緒に行かない?」
良く見ればアイリスの装備はあちこち
傷だらけであり、矢の本数も
心細い数になっていた。
自分的にもタイミングが良く便乗する
事にして、アイリスと共に街に向う。
「じゃあ、宜しく。」
そう言ってソウはアイリスの横を
一緒に歩いて行った。