08:血塗れになっても抱きしめる
多勢の敵を撃ち殺していく
なんの感情もなく、ただ撃ちまくる
それだけで良かった
なのに、君が視界に入った途端、世界はがらりと変わった
流れ弾をくらって、崩れていく君の姿が
視界に入った
敵のことなど忘れて、君に駆け寄った
君は真っ赤に染まって、倒れていた
敵は、僕と君を嘲笑った
君に罵声をあげたとき、僕はそいつの身体に穴を空けた
一瞬、まわりの空気が冷たくなった
僕が出した殺気で、敵は一歩後ずさる
僕は君の顔を見つめた
蒼白した顔は生気すらない
僕は敵を殺していく
乾いた爆発音を鳴らして、敵を殺していく
悲鳴と銃声のメロディーが奏でる演奏は
殺意と愛を一緒にする
敵は消えて、静寂の中、僕は一人立っていた
銃は鈍い音をたててコンクリートに落ちた
僕は君の身体を抱きしめて、嗚咽を漏らす
血塗れになっても抱きしめる
愛するモノを消された時、嗚咽漏らすのは悲しい証拠。
愛していた証拠だから、そのくらいはするはず。




