07:帰る場所はもうないよ
私はただ彷徨うばかり
まるで蝶のように、ヒラヒラと
闇に身を隠して、光の灯る場所を彷徨う
黒に赤が混じり合う
悲鳴を上げても、この騒音の場所では誰にも聞こえない
さっさと諦めればいいのに
諦めて、楽になろうと思えばいいのに
なんで、悲鳴なんて出して助けを求めるの?
解かりきったことを、受け入れないの?
光に生きる貴方達が、ワカラナイ
諦めて、堕ちればいいのに
そう思うけど、貴方達は悲鳴をあげるばかり
コンクリートの上に溜まる血は、溝に流れていく
真っ赤な血はコンクリートによって黒く見える
カラン、と音を立ててナイフが転がる
そいつを見下ろして、ため息をつく
そして何も無かったように、その場を立ち去る
黒と赤が混じり合う世界を
私はただ彷徨うばかり
私に帰る場所はもうないよ
帰る場所がないのなら、ただ彷徨うだけでいい。
今までの思いが嘘のように消えていくことを、実感できてしまう。




