03:残されたのは君の身体
明け方、君の部屋で見たもの
それは、君の最期だった
ついさっきまで、君はここにいたのに
僕がコンビニへ行っている間に、君はいなくなっていた
床に転がる君は、ぴくりとも動かない
規則正しい呼吸も、脈打つ心臓の音も
たった数分で消えてしまった
手にしていた者が、滑り落ちていく
僕は何をやっていたんだろう
コンビニになんて行かなければ良かったのに
後悔しても、涙はでてこない
ただ、すごく落ち着いている
君がいなくなったのに、僕は落ち着いている
愛していた君が消えたのに
僕はつい笑ってしまった
愛してなんかなかったくせに
自分に嘘をついて、笑った
最初から、愛してなんかいなかった
君には解かったのかな?
これがただの恋愛ごっこ、という名の遊びだってこと
なら、さっきいなくなって良かった
もし、まだここにいたのなら
僕が君を消していたんだから
頭の回転が早い人は好きだよ
ちゃんと解かってくれているからね
今この部屋に残っているもの
愛でも、悲しみでも、後悔でも、絶望でもない
残されたのは君の身体
残されたのは感情じゃなく、床に横たわる『彼女』の身体だけ。
遊びは終わったという合図。




