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17:向けられた銃口




   きっと、この感情は誰にだってあるもの

   でも、それを使ってはいけない

   使ってしまったら、僕は犯罪者の仲間入り

   それは、嫌だった



   だけど、どうしても殺したい奴がいる

   憎んでも、憎んでも

   足りないほど憎い奴を殺したい

   忘れないよ、あの日のこと



   あの日は一番暑い日だった

   そんな真昼に起こった事件は

   ありえないほど、眩しかった



   部活から帰宅して、涼しいリビングで休もうと考えていた

   玄関を開けてみたら、涼しくはなかった

   外の気温よりも暑い家は、セミの声さえ間近で聞き取れような錯覚があった

   靴を脱いで、リビングのドアに手をかける

   そして、ドアを開けた



   リビングに広がった血の海

   壁も床も、全部真っ赤だった

   暑い部屋の中で、血の匂いは更にきつくなっていた

   そして、窓から逃げる犯人と目が会った

   犯人は笑って、逃亡した



   何年も探し続けた

   そして、今、やっと見つけた

   だから、ここで殺さなくちゃいけない

   逃がしたら、もう、捕まらない

   


   きっと、これは誰にだってあるもの

   だけど、これを使ってしまえば

   僕は犯罪者の仲間入り

   嫌だけど、そんな考えはダメなんだ

   殺さないと意味がないんだ



   向けられた銃口は、憎んでいた奴を撃ち抜いた

   これで僕は犯罪者の仲間入り

   憎んでいた奴と同罪になった


 

   これを使ってしまえば

   誰でも犯罪者の仲間入りとなる

   向けられた銃口は、自分自身に当たる







『殺意』という感情は、誰にでもあるもの。

けど、それを使ってしまえば、犯罪者の仲間入り。

どっちを選ぶかは、考えによるもの。




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