15:掴むモノすらないのに
全部、置いてきてしまった
全部、失ってしまった
気がついたときには、もう、誰もいなかった
私の側には、誰もいない
一人ぼっちだった
何度も周りを見て、走って、探した
けど、何処にもいない
知らない人達がいっぱいだった
あの時、全部置いてきてしまった
全部、失ってしまった
私が捨てて、置いてきた
ただ苛々していただけだったのに
ムカついていただけだったのに
全部置いてきてしまったなんて
信じたくなかった
私は一人ぼっち
知らない人達が周りにいるだけの、退屈な世界
痛くなる心を抑えようと
手を伸ばす・・・・
でも、誰も掴んではくれない
差し伸べてくれる手さえ、そこには無かった
大切にしていた人達を失ったことに、今更後悔した
失ってから気がつくと
自身を取り巻くのは、後悔という感情だけだった
それでも、誰かに掴んでほしくて
差し伸べてくれる手が欲しくて
何度も手を伸ばす
私は、何をしているのだろう?
幻のような救いは、何処に無いのに
あの時、全てを失ってきたのに
掴むモノすら何もないのに・・・・・
後悔と涙が混ざり合い、流れていく
私は、後悔したことを忘れよう
こんな感情はいらない
こんな思いをするのは、もう嫌だ
だから、掴むモノすらいらなくていい
置いてきてしまったのなら、それまで。
失ってしまったのなら、それまで。
振り返って思い出すのは、後悔だけ。
だから、振り返らない。




