14:壊れていくなら、いっそ
形あるものはいずれ、壊れていく
美しいものはいずれ、朽ちていく
逆らえない法則は、永遠に続く掟
僕はそんなの嫌だよ
法則なんていらない、掟なんて必要ない
壊れていくことも、朽ちていくことも
そんなもの必要ないんだ
それでも、君はいつか壊れてしまう
朽ちてしまう
時が経つにつれて、消えていく
『・・・・私は壊れないよ』
なんて言ってたけど、結局は壊れてくんだ
だってそういう決まり事の中で生きてるんだから
『ねぇ、死んで』
『僕のために死んでよ』
『壊れていく君なんて見たくない』
『朽ちていく君なんて見たくない』
『だから、死んで・・・・』
君の全部を僕に
身体も、血も、骨も、内臓も、全部僕に頂戴
ずっと大切にするから
だから、僕の側にいてよ
僕が死ぬまで、ずっと、永遠に
君はずっと、黒い棺の中で眠るんだ
綺麗に添えられた紅い華と一緒に
僕の側にいるんだ
閉じられた瞳はもう、何も映さない
閉じられた口はもう、僕を呼ばない
それでも、側にいてほしい
僕の愛しい君は、美しいまま
壊れてしまうなら、いっそ・・・・・
僕がこの手で阻止してしまおう
壊れてしまうことも、朽ちていくことも、全部決められたこと。
それでも、阻止しようとするなら、失うことも決められたこと。




