13:「君に選択権をあげる」
学校の屋上で彼を待つ
隣にいる彼女は、フェンスの外で恐怖に歪んだ顔をしている
ロープとガムテープで縛られ、身動きもしゃべることも出来ない彼女は
ただ、恐怖に呻くだけ
もうすぐ彼がここに来る頃
ほら、バタバタと荒い足音が聞こえる
あと十秒で、彼は屋上に足を踏み入れる
十、九、八、七、六、五、四、三、二、一、零
思いっきり開けられたドアは、派手に音をたてて震えた
蒼白した彼の顔、恐怖に歪んだ彼女の顔
二人の顔がぐるぐると交差している
『君に選択権をあげる』
そう言って、彼女を縛っていたロープに手をかける
このロープを解いてしまえば、彼女は真っ逆さまに落ちていく
そして、心地良い音が聞こえて、下を覗くと、彼女は血塗れ
『彼女を見殺しにして生き残るか、死ぬか』
彼は身体を震わせて、必死に考える
彼女は呻いて、助けを求める
君はどっとを選ぶかな?
『お前が死ねばいいだろ!』
彼は本当に解かってるのかな
今、君の命が握られていること
『君は二つの選択から一つを選ぶだけなんだから』
『他の選択をすることは許さないよ』
彼に選択権をあげたのはこっちなのに
別の選択をするなんて許さないよ
どっちも助かろうなんて選択は、無いんだから
選択権はあげるけど、別の選択をすることはできない。
どちらかを選ぶしかないのだから。




