10:汚れた手
私の手にべっとりと付着したモノは
洗っても、洗っても、落ちることはない
匂いさえ染み付いて、取れなくなる
いつしかそれに酔いつぶれていく
あなたは私の手を、『好き』だって言ってくれたけど
私の手はこんなにも真っ赤で、汚れている
好きになんてなれないはず
偽ってできた表の顔は、図々しい
普通の生活に浸っているんだから
あなたが今の私を見たら、きっと逃げていくんだろうな
血に染まった私の手を『好き』といってくれた
汚れたこの手を、『好き』と言ってくれたのは、あなたが初めて
『ありがとう』
そう言いたいけれど、言えないから
あなたに救われた思ったけど
それでも、汚れは落ちないから
また、偽らなきゃいけない
汚れた手は、綺麗な手を掴めない
汚れた手で、別のモノを掴むことはできない。
掴んでしまえば、巻き込まれるから。




