5/11
世界
「僕の魔力をなくしてください」
決意を秘めた目を見て魔女は微笑む。
「いいわ。その願い叶えましょう。じゃあ目をつむって」
「え、今ですか!?」
願いが叶うと知りほっとしたのも束の間、魔女の行動の早さに驚いた。
「今じゃなければいつがいいの?」
心底不思議そうに問う魔女はどうやら本気のようだ。
ロークは覚悟を決めた。
「今がいいです。お願いします」
ロークはぎゅっと目を閉じた。
「目に力を集めるように意識して。……あぁ、力は抜いてリラックスしてちょうだい」
ロークの閉じた瞼にひんやりとした魔女の手が触れる。
だんだんと力が抜けていくような感覚がしてしばらくして彼女の手が離れた。
ゆっくりと目を開くと"初めて"目の前に立っている魔女の姿を見た。
銀と金の中間のような色をした長く輝く髪、この世のものとは思えないほどに整った容姿を目にしてロークは呆然と魔女を見ていた。
「目は普通に見えているみたいね。どう?初めて目にする世界は」