第五話 ビヨンドザソード ③
通路は幾重にも曲がりくねった構造をしていた。
数メートル歩けばT字型の分岐に行きあたり、そこを曲がって少しすればまた別の分岐に出くわす。更に分岐点はどれも同じ色彩と形状をしていたため、自分が今どこを歩いているのか、進めば進むほどわからなくなっていった。
「こうも同じ景色が続くんじゃ、頭が痛くなってくるな」
「区別をつける方法はあるぞ、キース刑事」
そう言うとパーシーが胸ポケットから油性ペンを取り出し、目の前の壁に数字と左向きの矢印を書き始めた。
「それは?」
「今から曲がる方向と、この曲がり角の番号を書いているのだ。こうすれば、どこを曲がったのかもあっという間に分かるだろう」
「中々頭が切れるな。でも曲がる方向くらい相談して決めてもいいんじゃないか?」
「僕は啓示を受けたのだよ、キース刑事。右に曲がれば破滅が待つだろう、さあ喜んで右に曲がるといいと、魔王ギンガスタからの魔の啓示を!ならば破滅の道とは逆の道を行けばいいのだ!」
「ああ、お前って基本そう言う奴だよな。忘れてたよ」
パーシーのアイデアは功を奏し、それからはさして迷うことも無く多くの分岐を捌いていった。そして暫く歩いた後、二人の前には一つの扉が見えた。最初に開けたものと同じつくりで、上部の窓枠は真っ黒で何も見えなかった。
「振り出しに戻った訳じゃないよな?」
「開けてみればわかる」
そう言ってパーシーがずかずかと歩きだし、水平につけられたレバーに手をかける。
「おい、少しくらい警戒した方が」
「善は急げだ!」
パーシーが一息にドアを開けた。