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おわり

ヒロイン出てこないエピローグです。動機の話。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

「あ」


どうやら、桜は散ってしまったらしい。


父に買ってもらった自転車を、乗れないので押しながら歩いている俺は、目の前に、ちはやと犬猿の仲の警察官を見つけた。


警察官は、俺を見てなぜか目を丸くした後、不敵に笑った。


「そっか、あの人は失敗に終わったんだな。ざまみろ」

「……」

「待て待て待て無視するな、なんか知ってそうな俺のことに興味を持て少年。ていうか、佐鳥のメイドはどうした?」

「ちはやなら、先に学校に行ってる。決着をつけなければならないそうだ」


決着と書いて、ケリと読むらしい。何とケリをつけるのかは知らないが。


「このリムジンを託された。学校まで、持ってきてほしいと」

「あからさまな時間稼ぎ……」


警察官が呆れたような声を出す。俺は地面に落ちている桜を踏み締めて、自転車を押し歩く。この警察官に構っていると、たぶん、遅刻する。


「待てよ少年」


ばさっ、と。なにかが俺の頭に直撃した。俺は地面に倒れた。


「持ってけ。べつに、あの人は、お前が嫌でマグロ漁船に乗ったんじゃない」


自転車に乗れない俺に見せつけるようにドヤ顔で自転車にまたがった警察官は、ひらひらと手を振った。


「じゃあな」




それは、卒業文集だった。


ぱらぱらと、ページをめくる。どうやら小学校の卒業文集のようだ。


「……」


その中に見知った名前をみつけて、俺は、目を見開いた。


えのきみしろ。父さんの名前だ。


こんな卒業文集、家にあったっけ? 旧榎家でも見た覚えがない。


なんというか、卒業について、当たり障りのないことを書いてる作文の横。将来の夢の欄を見て、俺は、思わず苦笑した。


「ああ、なるほど……」











関係者が来ていない教室で。


榎御白は、高らかに将来の夢を読み上げる。


「ぼくの、将来の夢は、漁師になることです」


榎の一族に生まれて、会社を継ぐ将来を嘱望される少年は、すでに、青写真を描いている。


両親は嫌いだ。重役も嫌い。だけど、榎織物加工には、たくさんの従業員がいる。彼らを路頭に迷わせるわけにはいかない。だから、慎重に、慎重に、会社を傾けさせないと。


一度は社長になってやる。だけど、絶対に、自分の夢は叶えてみせる。


御白の夢は、漁師になること。それと……紙を持つ手に、力がこもる。


「……それで、ぼくの釣った魚を、家族に食べさせて、笑顔にしたいです。おわり」



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