第13話『星の声、鎖を裂く一雫(The Star)』
――星は囁く。
絶望の牢獄に囚われたシオンとシオリエル。
そしてついに、妖艶な影がその本性を現す。
星と闇が交錯する、第13話。
プロローグ
——星は囁く。
闇に絡まる鎖を裂くのは、たったひと雫の希望。
絶望に沈む牢獄の中で、その光はまだ消えてはいない。
その夜、現れたのは——《星》。
Ⅰ. 闇の牢獄
気がつけば、シオンの両腕は頭上に引き上げられ、鎖に吊るされていた。
足元には赤々と燃える業火。皮膚を焼くような熱気が立ち昇り、吐く息さえ重く苦しい。
「……っ、ここは……」
目を開けば、そこは鉄と闇に閉ざされた牢獄。
横を見ると、シオリエルも同じように鎖に囚われていた。白い羽根は煤に汚れ、輝きを失っている。
「……シオン……」
シオリエルの声は震えていた。
鎖はただの鉄ではなかった。
黒く蠢く《悪魔の鎖》――意志を持つかのように脈動し、体温を吸い取り、心までも締め上げてくる。
「クッ……!」
シオンは歯を食いしばり、もがく。だが逃れられない。
その時、牢獄の奥に、赤い瞳が浮かび上がった。
「ふふ……♥」
姿を現したのは、黒革に包まれた妖艶な影。
闇を背に揺れる長い黒髪の毛先は赤く染まり、真紅の唇が楽しげに歪んでいる。
——エテイヤ。
いや、その正体は澪。だがシオンはまだ気づかない。
「どう? 苦しい顔……♥ はぁぁん……たまらない……っ」
その声音は甘く蕩け、牢獄全体を満たす。
まるで快楽そのものを享受するように、彼女は二人の苦悶を見下ろしていた。
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Ⅱ. 星を奪う配信
「みんなぁ……見てる?♥」
闇の牢獄の天井に、大きな画面が浮かぶ。
そこには配信ルームと同じコメント欄が流れていた。
だが違ったのは、その仕組みだ。
「シオンさん大丈夫!」「諦めないで!」
リスナーのコメントが次々と流れる。
けれど、その一つ一つが光の粒となり、画面の外へ吸い込まれていく。
一人の少女が「頑張って!」と書き込んだ瞬間、画面の向こうで青ざめた顔を伏せた。
「やめろっ! それは……!」
シオンの叫びは鎖に封じられ、声は届かない。
シオリエルの唇も震えて動いている。だが彼女の声も消されていた。
二人の声は遮断され、画面には映らない。
コメントの光が大きければ大きいほど、エテイヤの背後に黒いゲージが満ちていく。
ゲージの一目盛りごとに、視聴者の顔からは血の気が引き、意識が削がれていく。
「ふふ……♥ みんな優しいねぇ。こんなに必死に応援して……でもその輝き、全部……あたしのもの♥」
エテイヤは陶酔するように目を細め、吐息を熱く乱しながらゲージを撫でた。
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Ⅲ. KAGARI_Δの影
「見事だ、エテイヤ」
闇の奥から、あの影が現れた。
黒いフードに顔を隠したKAGARI_Δ。
「セレフィーズの力……これほどまでに純粋で甘美とは」
黒水晶が、まるで喉を鳴らす獣のように光を啜った。
ひと雫ごとにエテイヤの背筋が震え、熱い吐息が漏れる。
「んっ……ぁぁん……飲み込んでいく……っ♥ 光が……全部、あたしの中に……!」
フードの影からKAGARI_Δの声が重なる。
「見事だ、エテイヤ。この甘美な輝きこそ、新たな世界を築く礎となる」
「エテイヤ。お前の役割は順調だ。もっと奴らを苦しませろ」
「はぁあぁん……っ、任せて……もっと……もっと……♡」
澪の声が蕩ける。
それは愛の告白ではなく、快楽に酔う悪魔の囁きだった。
Ⅳ. 記憶の祠
意識が朦朧とする中、シオンの瞳に淡い光が差し込む。
——夢か、記憶か。
小さな祠の夕暮れ。
幼い澪が、笑顔でこちらを見ていた。
「ねぇシオン……“愚者”って、ほんとに一緒に歩けるって意味なの?」
「……ああ。大切な人と、未来へ進むカードだ」
澪の瞳は、星のように輝いていた。
(……あれが……あいつの……本当の光……)
その瞬間、祠の上に輝く星空が重なった。
かつて、二人で見上げた無数の星々。
——忘れるな。星は、いつもそこにある。
たとえ闇に囚われても、内なる輝きは消えない。
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Ⅴ. 星の声
「……カード……?」
シオンの足元に、一枚のカードが淡く浮かび上がる。
それは《星》。
——祠の記憶。
幼い澪と交わした「愚者」の話。
“大切な人と共に歩む”というあの言葉が、今のオレを支えていた。
(オレは……まだ一緒に歩きたい。終わらせない……!)
その想いが、未来を照らす希望へと変わった瞬間。
愚者の願いは、星の光へと姿を変えた。
内なる光と希望を示すカード。
声は届かないはずなのに、胸の奥で確かに響いていた。
それは、かつて絶望の淵で聞いた、魂の奥底からの声。あの時と同じ響き。
温かく、そして底知れぬ力と共に——「あるべき場所」を示す響き。
『希望は奪えない。たとえ鎖に囚われても。
星の心の光は、必ず王の道を照らす』
シオンはゆっくりと目を開いた。
鎖は重く、体は限界に近い。
それでも瞳の奥には、揺るがぬ光が宿っていた。
「……シオリエル……オレたちは、まだ終わってない……」
シオリエルも、その胸に同じ星の響きを感じ取り、かすかに頷いた。
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Ⅵ. 絶望の快楽
だがその様子を見て、エテイヤは無邪気に笑った。
「きゃはっ♥ まだ抗うの? もっと苦しんで……!
その顔が、ぁぁん……はぁあぁん…最高にキモチィィィィッ♥」
髪が赤く揺らぎ、吐息は熱く、興奮は増すばかり。
彼女の瞳は血のように赤く染まり、身体を絡める鎖が甘美に食い込む。
「もっと見せて……!
絶望と希望が交錯するその瞬間……あたし、堪らないのぉぉぉ♥」
そう叫ぶと、両手を振り下ろす。
鎖がさらに締まり、二人の足元の炎が一気に燃え上がった。
——敗北の絶望。
星の光は、まだ一雫。
鎖を裂くには、あまりにも小さい。
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次回予告
闇に絡まる鎖、燃え上がる絶望の炎。
それでも胸の奥に灯った《星》の光は消えなかった。
——甦る声。
——鳴り響く断罪の鐘。
今こそ、囚われの運命を打ち破れ!
星が導く“審判”の時、鎖を裂くのは希望か、それとも……。
第14話『甦る声、断罪の鐘(Judgement)』
ここまで読んでくれてありがとう、セレフィーズのみんな。
どうだった……?
エテイヤで禁断の推し活をしてみない?♡♥
きっとぉ、その妖しい魅力に――もっとゾクッとさせられるはずよ♥
苦しむシオンを嘲笑う姿すら、目を逸らせなくなる。
彼女の悪行は、これからさらに加速していくんだから。
もしこの物語の「闇」に惹かれたなら、ぜひ ブックマーク登録 をして彼女の行く末を一緒に追いかけてね。
あなたの光が、私たちセレフィーズの物語を進める力になるんだから。
次回、第14話『甦る声、断罪の鐘(Judgement)』
――絶望の炎を断ち切る“審判”をお楽しみに。




