表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

悪役令嬢レインボー・カルメンは、カードアニメ世界で今日も憂鬱 ~燃え上がる、婚約破棄編~

「侯爵令嬢レインボー・カルメンよ! 貴様との婚約は破棄、それどころか追放じゃこらぁ!」

「そうよ、王子様とは私が婚約するんだから、あなたは国外で野垂れ死にしなさいよてめぇ!」


 はい、どうも困った状況になりましたぁ~。

 貴族学校初等部、その卒業記念パーティーで、婚約者だった王子様と、その王子と結婚してやるとのたまう平民に、めちゃくちゃメンチ切られてます。

 もうガッツリ、なんなら顔と顔が近付くくらいの距離間で、物凄い敵意を向けられています。


 あー、どうしてこうなったんだか……。






 私の名前は、レインボー・カルメン。レインボー侯爵家の一人娘。

 まるで売れない芸人のような名前だけど、この世界(・・・・)における私の名前なのだから仕方ないよね。


 そう、この世界(・・・・)とあらかじめ言ったことからも分かるかもしれないが、私には、この世界ではない、別の世界で生きていた記憶がある。いわゆる、異世界転生者というヤツだ。

 

 私が転生したのは、剣と魔法のファンタジー世界……ではなく、カードバトルが全てのファンタジー世界である。



 『国王が他国の王とのカードバトルで勝利し、その国を植民地にしました!』だの、

 『稀代の怪盗アリエーヌ、警察に包囲されるも、カードバトルで勝利して大脱走』だの、

 『昨今精霊が暴れているのを調査した結果、カードバトル3連戦にて見事鎮圧に成功』だの、



 ----まぁ、簡単に言えば、"カードバトルで勝利した者が偉い"という、ホビーバトルアニメのような世界なのだ。


 そして、そのカードバトルというのが……なんていうか、あれなんですよ。


 ----"遊〇王"なんすよ。


 40枚の山札からそれぞれ5枚引いて勝負を開始し、ターンを進めながら、4000ある相手の体力を0にした方が勝ちっていう、そのまんまの。


 もしかしてだけど、遊〇王の同人ゲームの世界に迷い込んだんじゃないかってくらいなんだけど、確証がないから分からない。


 とまぁ、そんなカードバトル第一主義世界で、私は侯爵家令嬢として、ツッコミ所が多い世の中を「巻き込まないでね~」くらいの立ち位置で居たんだけど----




「まさか、こうなるとは……」


「あぁん?! ビッチィをいじめてたのを認めるのかよ、このド腐れ野郎が!」

「えぇ、ひどい仕打ちを受け続けましたんだこらぁ! 追放じゃあ、国外追放じゃあ!!」


 13歳----貴族学校初等部卒業の頃と言えば、普通ならもっと優雅に、落ち着いた性格の者が多いのが、普通だろう。

 しかしここは普通のファンタジー世界ではなく、カードバトルで全てが決まる世界。

 カードバトル世界では、「勝てば正義」というガキ大将かよっていうルールが絶対視されているため、煽りなどを平気でする、この2人のような子供まるだしの者が大勢いるのである。


 というか、むしろこういう人の方が多いというか……。

 ほんと、ろくでもない世界である。


 私を悪役令嬢として揶揄するのは、この国の王子にして、私の元婚約者だった男。

 ----その名も、"コノクーニ・ヲワタ"王子。

 ……うん、ホビーアニメってこういうストレートな名前なやつが多くて、だいたい名前通りの性格をしているのが多い。

 だからこそ、絶対ヤバい奴だと思っていたから近付かなかったんだけど、まさか悪役令嬢に仕立て上げてくるとは、予想通りというか、なんというか。


 そして、酷い仕打ちを受けたと言いつつ、私にゴリッゴリにメンチを切っているのは、そのヲワタ王子の不倫相手……失敬、現在の婚約者候補。

 確か----"サノバ・ビッチィ"さん、だっけ?

 学園で唯一の平民であるという以前に、名前がヤバすぎるから近付かなかったはずなんですがねぇ……。

 なんでいじめたという話になっているのか、まるで分かりません。


 

 ----はぁ、だから父に代わって私が国王と勝負するって言ったのに。

 父が負けるから、こんなヤバい王子の婚約者になったのが、運の尽きだったんでしょう。



 仕方ない、関わらないのは諦めて彼らの言い分でも聞きましょうか。


「それで、王子? 私がそこの彼女に何をしたというんです?」


「しらばっくれるな、カルメンよ! お前がビッチィを疎んで、彼女のカードに傷をつけてるところを見たという人が大勢いるんだぞ! カードを汚すとは……この悪役令嬢め!」

「えぇ、彼女ったら、それはそれは酷い所業で……」


 周囲から「なんて恐ろしい事を……」とか聞こえてくるが、前世の知識がある私としては「え? そんな事で?」と思っちゃうんだよね。

 たかがカードに、ほんの少し傷つけたとして、国外追放されるレベルの悪行かよって。


「はぁ……誤解だと、聞いてくれるわけないですよね」


「あぁ、そうだ! 誤解だと言うなら、俺達とのラブリーデッキに勝てるというのならな! おらぁ!」

「えぇ、そうよ! 誤解ならあなたが勝つはずだわ! もちろん、勝利は正義側である私達に微笑むけどね!」


 ……ほんと、なんでそんな自信満々なんだか。

 そんなんだから、怪盗という世を騒がす悪党を捕まえられないんだよ。

 包囲したなら、そのままカードバトルなんかせずに捕まえれば良いのに。


 ----ともあれ、なんか緑属性的(しぜん)的な流れになって、カードバトルをする雰囲気になってる。

 もう何を言っても無駄だと思った私は、仕方なく、デッキを構えた。



「「バトルっ!」」

「……バトル」



 こうして、私はいやいやながら、国外追放を避けるためのカードバトルに望むのであった。




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




 今回の勝負は、私1人対あのドぐされコンビ2人の、変則タッグマッチバトル。


 ビッチィ、ヲワタ王子、私の順でターンが進み、最初の1ターン目は3人とも攻撃できない。

 そして、ビッチィとヲワタ王子はお互いに、互いが使ったカードを使えるというシステムの代わりに、体力は4000である私の半分、2000ずつになるのが普通なのだが-----


「私は、この国を担う王子だぞ! 4000じゃないとか、あり得んのだが?!」


 まさかの駄々っ子で、実質6000対4000の変則バトルが開始されることになったのだった。

 ……もう、なんでも良いから始めて欲しい。


 私達の前には、魔方陣----よりわかりやすく言えば、カードバトルする用のプレイマットが用意されている。

 バトルをすると勝手に現れるんだけど、ほんとうにどうなってるんだろ。これ。


「王国を担う次期妃たる私のターン! 私は燃え上がる恋する踊り子、【アベックスワン】を召喚!」


 バシィンッと、カードが痛みそうな勢いで、ビッチィがカードをセットすると、彼女の目の前にバレリーナの恰好をした鳥型モンスターが現れた。




 ==== ==== ==== ==== ==== ====

 【アベックスワン】 火属性 攻撃力500ー守備力800

 このモンスターが場に2体存在する場合、攻撃力を2000アップさせる

 ==== ==== ==== ==== ==== ==== 




「私のターンは終了よ! さぁ、次はあなたの番よ!」

「了解した! 行くぞ、王国を率いる先駆者のターン!」


 いや、あんたはむしろ王国を滅ぼす側だと思うけど。

 

「私もビッチィに続くぞ! 情熱の赤き踊り鳥、【アベックスワン】を召喚!」


 さっきと口上こそ違うが、ヲワタ王子がカードをセットすると、ビッチィの前に現れたのと同じ【アベックスワン】が召喚された。

 これで2体揃ったって事は----


「【アベックスワン】の効果発動! 私と、そして我が妃(ビッチィ)の場に居る【アベックスワン】の攻撃力は共に2000上昇し、攻撃力は2500となる!」


「「「おぉぉぉおぉっっ!!」」」


 観客がめちゃくちゃ驚いていたけど、いや、ちゃんとテキストに書いてある通りなんだから、別に驚く必要なくない?


「そして、私のターンは終了する! さぁ、反逆者よ! 貴様のターンだおらぁ!」


 ……悪役令嬢どころか、反逆者ですか。

 言いたい事は山のようにあるけど、とりあえず勝てばいいので、私は粛々とターンを進めていく。


「やれやれ……。私のターン。手札から【ふわもこ】を召喚します」


 ぺちっと、私は手札から【ふわもこ】と書かれたカードを載せる。

 すると、目の前に、ピンク色の毛をしたデフォルメした羊のようなモンスターが現れる。




 ==== ==== ==== ==== ==== ====

 【ふわもこ】 緑属性 攻撃力0ー守備力0

 このモンスターが召喚に成功した時、デッキから攻撃力0のモンスター1体を選び、召喚しても良い

 このモンスターの他に、場に別のモンスターが居る場合、相手はその別のモンスターから攻撃しなくてはならない

 ==== ==== ==== ==== ==== ==== 




 私がモンスターを召喚すると共に、バトルを見守る他の令息や令嬢さん達が大勢騒ぎ出していた。


「おいっ、アイツってば攻撃力0なんか出してるぜ?」「勝つ気あるのか、あいつ?」「というか、あれは緑属性モンスターなんじゃ」「あぁ、緑属性だぞ」


 みんなが騒ぎ出す中、ビッチィもガクガクと震えていた。

 そんな中、キリッとした瞳でヲワタ王子が私を睨みつけながら、私が召喚した【ふわもこ】を指差す。


「貴様っ! 青髪のくせに、緑属性を使うとは……異端者めっ!!」



 ここで、説明しておこう。

 このカード世界では、1つの法則----いや、1つのルールが存在する。


 それが、髪の色と使うカードの属性が一緒という事だ。


 この世界にあるカードは全て、5つの属性に分類される。

 『火』、『水』、『緑』、『光』、そして『闇』----そして、髪の色と合わせたカードを使うのが、この世界での常識。

 ちなみにヲワタ王子とビッチィの髪の毛は赤色、そして私の髪は青色----つまり、定石通りに行けば、私は水属性のカード使いでなければならないのだ。


「いや、なんのカードを使おうが自由じゃん?」


 でもまぁ、別に禁止されている訳でもないので。


 私の言い分に「あり得ない」だの、「異端者め」だの、「悪役令嬢め」だのと言われているが……悪役令嬢って、決してそういうのではないと思いつつ、プレイを続行する。


「【ふわもこ】の効果発動。デッキから攻撃力0のモンスターを召喚できます。私は、デッキから、2体目の【ふわもこ】を召喚」


 そうして、デッキから2体目の【ふわもこ】を召喚。

 それによって、2体目の【ふわもこ】の効果で、またまた【ふわもこ】を召喚----。


「一気に、3体、だと?!」

「どんなあくどい手段を使えば、そのような方法が取れるんですかぁこらぁ!」


 いや、普通にルール通りにやってるだけなんで、いちいち文句を言わないで欲しい。


「そして、3体目の【ふわもこ】の効果を使い、【結晶の騎士ルービーC】を召喚します」


 てぃっと、私は3体目の【ふわもこ】の効果で、4体目は攻撃力0のモンスター、【結晶の騎士ルービーC】を場に置く。

 3体の愛らしい羊型モンスターの横に、突如として大きな赤結晶が現れる。その赤い結晶の中には、目を閉じた動かない少年騎士の姿があった。




 ==== ==== ==== ==== ==== ====

 【結晶の騎士ルービーC】 緑属性/光属性 攻撃力0ー守備力1200

 このモンスターが破壊された時、自分が受けるダメージを0にする

 このモンスターが攻撃表示で破壊された場合、ターン終了時に墓地からバトルゾーンに再び召喚しても良い

 ==== ==== ==== ==== ==== ==== 




 私が【結晶の騎士ルービーC】を召喚すると、さらに観客たちはどよめき出した。


「あいつ、混色(レインボー)を使ってるぞ!」「異端者め、なんであのカードを使って呪われないんだ!」「やはり悪役令嬢だから、平気で使えるのか?」「王子、早くあの者を始末してください!」「カルメンをぶっつぶせぇ!」


 凄い言われようである。

 なんかこの世界、【結晶の騎士ルービーC】のように2つ以上の属性があるカード、別名『多色(レインボー)カード』を呪われた存在として扱っているらしく、見つけても使わないのが鉄則らしい。

 私としては、そんな風に忌み嫌う事こそが、失礼に感じるのだが。


「カードを2枚伏せて、私のターンは終了です」

「つまりは、私による制裁の時(ターン)が来たという事ね!」


 なんかドヤ顔のビッチィは、1枚ドローすると、そのドローしたカードを自身の【アベックスワン】の下に置く。


「私は、装備魔法カード【情熱のトゥーシューズ】を、【アベックスワン】に装備させるぜこらぁ! これにより、私のモンスターは、あなたに2回攻撃できます!」




 ==== ==== ==== ==== ==== ====

 【情熱のトゥーシューズ】 赤属性 装備魔法カード

 この装備魔法カードを装備したモンスターは、2回攻撃ができる。ただし、プレイヤーに直接攻撃は出来ない

 ==== ==== ==== ==== ==== ==== 




 【アベックスワン】の足元が、なんか棘がついた赤いシューズ、【情熱のトゥーシューズ】へと変化する。

 これにより、あのモンスターは、モンスターに限り、2回攻撃が可能となった訳ね。


「【アベックスワン】で、【ふわもこ】を「【ふわもこ】は効果により、攻撃対象になりませんよー」いちいち、うるさいんだこらぁ!」


 いや、ただの親切心というか、ただ効果を言っただけなんだけど。

 気を取り直して、ビッチィは、今度こそ【結晶の騎士ルービーC】に狙いを定める。


「【アベックスワン】で、【結晶の騎士ルービーC】を攻撃! 情熱スワンアタック!」


 ----キェエエエエイ!!


 なんか勢い良い掛け声と共に、【情熱のトゥーシューズ】を履いた【アベックスワン】の攻撃が、私のモンスターを蹴り飛ばす。

 【結晶の騎士ルービーC】は破壊され、「これでアンタの体力は残り1500ね!」という彼女。


「いえ、【結晶の騎士ルービーC】の効果で、私が受けるダメージは0。つまり、このモンスターは破壊されただけです」

「きぃー! なんて卑怯な手を! こうなれば、【ふわもこ】を破壊して、今度こそダメージを与えて見せますわ! 【アベックスワン】で、【結晶の騎士ルービーC】を攻撃! 情熱スワンアタック・リバイバル!」


 続けざまに、今度は【ふわもこ】に対して、【アベックスワン】が迫って来る。

 ここで破壊されると、残り体力が減っちゃうから、私はすぐさま伏せていたカードをオープン、つまり効果を発動させる。


「----罠カードオープン、【マジカル☆ミラクル☆大イリュージョン】。その効果により、その攻撃を受けるのは、あなたです」




 ==== ==== ==== ==== ==== ====

 【マジカル☆ミラクル☆大イリュージョン】 青属性 罠魔法カード

 相手が攻撃を宣言した時、発動することが出来る。相手モンスターの攻撃を、相手、もしくは相手の場に居るモンスターに変更する

 ==== ==== ==== ==== ==== ==== 




 私がカードを発動させると、場に大きなシルクハットが現れる。

 そのシルクハットは、ダイ〇ン掃除機に負けじと凄まじい吸引力で、現在攻撃中の【アベックスワン】を吸い取り、そのままぽーいっと、ビッチィに投げ返した。


「----え? きゃあああああああああ!!」




 ==== ==== ==== ==== ==== ====

 ビッチィに 【アベックスワン】の 攻撃が ヒット!

 体力 2000 → 『2500 ダメージ』 → 0

 ビッチィ ゲーム・オーバー!!

 ==== ==== ==== ==== ==== ==== 




「ぎゃあああああああ! あり得ませんわぁああああああああ!!」


 物凄い勢いで吹っ飛ぶビッチィに流石に不安になっていると、


「良くも……、良くもあんな酷い手で、ビッチィを倒してくれたな! 許さんぞ、悪役令嬢レインボー・カルメン!」


 何故か、ヲワタ王子の心に火を点けてしまったようだ。

 まぁ、確かに、なんでカードバトルをしてただけなのに、酷い暴行を受けたかのようなボロボロ具合なのは気になるけど。


「私のターンだな、悪役令嬢レインボー・カルメン!」

「いえ、攻撃表示で破壊された【結晶の騎士ルービーC】の効果が残っております」


 ひょいっと、効果によって、私は【結晶の騎士ルービーC】を墓地から、再度召喚する。

 「良いですよ~」と合図を送ると、「どこまでも人をコケにしやがって……!」と語るヲワタ王子。


 今のどこら辺に、煽り要素があったのか、教えて欲しい。


「悪を打ち砕く私のターン! ドロー! 私は、【アベックスワン】を召喚!」


 ヲワタ王子は、1体だけになってしまった【アベックスワン】の攻撃力を再度2500にするため、もう1体、【アベックスワン】を召喚させる。


「これで攻撃力は2500まで上昇! そして、さらに魔法カード【王による宣誓(キングスオーダー)】を発動! 相手モンスター1体を選び、その表示形式を強制変更するぜおらぁ! 【結晶の騎士ルービーC】、防御姿勢を取りやがれぇ!」




 ==== ==== ==== ==== ==== ====

 【王による宣誓(キングス・オーダー)】 赤属性 魔法カード

 相手モンスターを1体選び、発動。相手モンスター1体の表示形式を変更する

 ==== ==== ==== ==== ==== ==== 




 相手の魔法カードの効果により、私の【結晶の騎士ルービーC】の表示形式が守備表示に。

 これで、さっきと同じ復活コンボを封じたつもりなのだろう。


「1体目の【アベックスワン】で、【結晶の騎士ルービーC】を攻撃! 怒りのスワンキックぅぅぅ!!」


 ヲワタ王子の意思も乗っているのだろうか、【アベックスワン】は全身から赤い怒りのオーラを纏いながら、私の【結晶の騎士ルービーC】を蹴り飛ばして、破壊。

 【結晶の騎士ルービーC】の守備力1200では、攻撃力2500となった【アベックスワン】を止める事は出来ない、か。


「そして! 2体目の【アベックスワン】で、【ふわもこ】を破壊だぁあああ! スワンキック・リベンジぃぃぃぃ!!」


 2体目の【アベックスワン】も、怒りの炎で向かって、私の【ふわもこ】を破壊しようとしてくる。

 攻撃してきたので、私は2枚目の罠カードもオープンする。


「罠カード----「いっけぇええ! 【アベックスワン】!」


 効果を読み上げようとしたのに、ヲワタ王子はお構いなしに、【ふわもこ】に攻撃してきた。


 ----どがああああああんんっっ!!


 【アベックスワン】の怒りのキックが、【ふわもこ】にぶつかると共に、大量の土煙が舞い上がり、2体のモンスターを包む。


「ぐがぁあああ! 馬鹿なぁああああ!」


 そんな中、ヲワタ王子は急に叫び声をあげていた。




 ==== ==== ==== ==== ==== ====

 ヲワタ王子の 【アベックスワン】が 破壊!

 体力 4000 → 『500 ダメージ』 → 3500

 ==== ==== ==== ==== ==== ==== 




 どういう事なのかと皆が戸惑う中、煙の中から現れたのは----


 ----"攻撃力が3000となった【ふわもこ】"の姿であった。


「「「「なっ----?!」」」」


 皆が驚く中、私は先程発動していたカードを読み上げる。


「永続罠カード、【怒れるふわもこ】。このターンに緑属性のモンスターが墓地に送られていた場合、私の【ふわもこ】は攻撃力3000となります」




 ==== ==== ==== ==== ==== ====

 【怒れるふわもこ】 緑属性 永続・罠魔法カード

 【ふわもこ】と名のつくモンスターが自分フィールド上に表側表示で存在している時、このターン、自分フィールド上の緑属性モンスターが破壊された場合、このターンのエンドフェイズまで自分フィールド上の【ふわもこ】と名のつくモンスターの攻撃力は3000になる

 ==== ==== ==== ==== ==== ==== 




 私が発動しておいた永続罠魔法カード【怒れるふわもこ】により、私の【ふわもこ】の攻撃力は3000へと上昇している。

 このターン、緑属性にして光属性でもある【結晶の騎士ルービーC】が破壊されているため、私の場に3体いる【ふわもこ】の攻撃力3000となっていた。

 そのため、攻撃力2500の【アベックスワン】を破壊し、逆にダメージを与えた、という訳なのだ。


「くぅぅぅ!! 姑息な手ばかりで、ずるいんだぞこらああああ!! ターン、終了(エンド)!」


 いや、普通にもう1枚カードが伏せているのに何も考えずに、攻めたのがダメなんじゃ……。

 まぁ、なにを言っても聞いてもらえない気がしたため、私は自分のターンを開始する。


「私のターン、ドロー。私は【結晶の魔女エメラルド・レミ】を召喚します」


 私が召喚したのは、今度は緑色の大きな結晶が現れる。

 その結晶の中には、不気味に笑う魔女の姿があった。




 ==== ==== ==== ==== ==== ====

 【結晶の魔女エメラルド・レミ】 緑属性/闇属性 攻撃力0ー守備力900

 このモンスターを破壊しても良い。その場合、相手のモンスターを1体選択し、そのモンスターを破壊する

 ==== ==== ==== ==== ==== ==== 




「----なっ!」

「王子、私が何をするか分かってくれて嬉しいです。私は【結晶の魔女エメラルド・レミ】の効果により、このモンスターを破壊し、あなたの場に居る【アベックスワン】を破壊します」


 そうして、私は効果によって、自分の場に召喚したばかりの【結晶の魔女エメラルド・レミ】、そして王子の場に存在する【アベックスワン】を破壊した。

 これで王子の場にモンスターが居ない状況というだけではなく、闇属性にして緑属性でもある【結晶の魔女エメラルド・レミ】が破壊されたことになる。


「【怒れるふわもこ】の効果により、緑属性でもある【結晶の魔女エメラルド・レミ】が破壊されたため、【ふわもこ】の攻撃力が3000になります。

 ----そして、3000となった【ふわもこ】達3体で、王子に攻撃です」

「こっ、こんなはずではああああああああ!」




 ==== ==== ==== ==== ==== ====

 ヲワタ王子に 【ふわもこ】3体の 攻撃が ヒット!

 体力 3500 → 『3000 ダメージ』 ×3 → 0

 ヲワタ王子 ゲーム・オーバー!!


 勝者 レインボー・カルメン!!

 ==== ==== ==== ==== ==== ==== 




 こうして、私はヲワタ王子とビッチィを倒し、緑属性的(しぜん)な流れで、悪役令嬢というのは単なる言いがかりだと納得してもらうのだった。

 ほんと、勝者が全てな世界なんだよね……バトルに負けていたら、悪役令嬢として国外追放が確定してたとは、本当に困る世界である。


 この時の私はまだ、知らなかった。

 この後、カードバトルに強くて、なおかつ多色(レインボー)カードを平気で使う私に、多くの者達が勝負を仕掛けてくるようになるなんて----。

 オススメカード、紹介~!!

 今回紹介するカードは、こちら!



 ----【アベックスワン】!



 コノクーニ・ヲワタ王子と、サノバ・ビッチィが使っていた火属性のモンスター!

 攻撃力500とこのままだと弱いモンスターではありますが、2体揃うと一気に化ける! なんと、攻撃力が2000も上がり、2500という攻撃力を得ることが出来るのです!


 2人が協力し合い、お互いに高め合う姿こそ、一番美しいとされる火属性のモンスター、【アベックスワン】!


 皆さんも是非、使ってみてはいかがでしょうか?!


 それではまた次回、【嵐渦巻くお家騒動編】でお相手しましょう!


 お相手は、作者こと、アッキ@瓶の蓋。でした~。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ