無色のメモ おやすみ、世界
神様はそう、僕らのことを見ている。
見ているだけで、何も知らない。
地球には、色はなかった。
でもあるとき、神様が言った。
「つまらない」と。
神様は色を作った。
まずは、
自分の好きな 青色 を空と海に散りばめた。
次は、
緑色 を葉に、
茶色 を土に塗っていった。
やがて、飽きてきた。
そこで神様は、自分と同じような姿をした
『にんげん』を作った。
そしてそれを、
色々な場所へ置いていった。
神様は求めた。
底なしの“楽しさ”を。
僕らは求める。
終わりなき“安心”を。
食い違っていることには
誰も気づかない。
気づかないまま、
今日も眠りにつくのだ。
僕らの思惑が、バレないうちに。
おやすみ、世界。
いつの日か、“楽しい”時間を。
僕のメモはここで終わり。
次はあなたの番さ。
いつか空を飛べる日がくることを願って。