7 図書室へ
お腹が満たされた私は、行儀が悪いとわかっていてもベットの上で寝転がりながら、エナに預けていた読めていなかった本を開いた。エナには、すでに下がってもらっている。
王族、貴族や平民について、領地や地形、周辺諸国との関係性、貴族のマナーなど複数の本を読んでいたら、時間が経つのはあっという間で、いつの間にか夜中になっていた。
リリーアはまだ子供だからなのか、読んだ本の内容が次々と頭に入っていく。物覚えがとてもいいみたいだ。
周辺諸国との関係性について書かれている本を呼んで、前世で暮らしていたパーノトキア国との関係性はあまり良いものではない事がわかった。戦争などの武力を用いた争いはないが、交流も殆ど無いらしい。
もうすでに夜中だけれど、パーノトキア国についてどうしても気になってしまった私は、隣国について書かれた本がないか探しに、また図書室に行くことにした。
今日は半日以上ベッドの上で過ごしていたので、いつもなら既に寝ている時間だけれど、目が冴えている。
静かにドアを開け、周囲を確認する。昼間の光が外から入ってきている明るい廊下と違って、薄暗い空間が広がっているため少し不気味に感じてしまう。
精神年齢は成人しているはずなのに、感情に関しては五才の子供のように、廊下に出るのを躊躇っている自分がいる。
でも全然眠れそうにないので、よしっと気合を入れて踏み出すことにした。
悪いことをしている訳ではないけれど、まだ使用人に会うのは気まずいので、誰もいないことを確認して廊下に出て静かにドアを閉めた。
無事に図書室に辿り着けたことに安堵し、蝋燭の灯りを頼りに本を探す。今日、初めて図書室に来てからこの国について書かれている本を探す際に、時間を掛けて一通り見て回っていため、大体どこに何があるか把握できていたこともあり、そんなに時間はかからなかった。
手燭を近くにあった本を整理する時に使う台に置いて、背表紙に《パーノトキア国》と書かれた本に指をかける。
他には見当たらなさそうなので、この一冊だけ持って部屋に戻ろうとしたところで、
「灯り…?」
窓の方向が一瞬明るくなったような……
図書室は一階にあるので、見回りの兵士かもしれない。
手燭と本を持ち替えて窓の方向へ歩みを進めると、自然と一冊の本に目が留まった。
「あれ?ここは料理系の本が並ぶ棚だけれど」
並びに違和感を覚え、背表紙の文字が明らかに料理系ではないと思われる本を手に取る。
ガタッ
ヒィッ、どこからか物音が聞こてきた。この暗闇の中では恐怖でしかない。
この暗い空間に一人でいるのはこれ以上無理だと、小走りで図書室を出る。
目的ではない本を手に、そして、本当の目的の本を台に置いたままにしたことに気付いたのは、部屋に戻ってからのことだった。




