5 ブレスレット
読み進めていくと、二つの絵が見開きにそれぞれ大きく描かれていたページに目が止まった。
左のページには丸い水晶のようなもの、右側のページには赤い石の宝石がついたブレスレットの絵だ。
「へぇ…、《魔力測定用水晶》と《魔力放出抑制ブレスレット》。素晴らしいものが開発されたのね」
文字を指でなぞりながら、頭の中で読み進めていく。
《二才になる年に、こちらの魔力測定用水晶を用いて、魔力測定を行うこと。魔力持ちと判定された者で、身近に魔力の扱い方を教えられるものがいない場合は、次ページに記載の魔力放出抑制ブレスレットを必ず身に着けること。ブレスレットは、国から支給される。》
《魔力持ちで魔力や魔法に関して学びたい者は、例外なく誰でも魔法学園に入学できる。なお、入学は十三才から可能である。》
魔法学園に入学すれば、能力がなくて魔法を扱うことができなくても将来魔法に関係する職に就くことができるらしい。
前世から考えると、もの凄い好待遇になっていて、魔力持ちが当たり前に世の中に受け入れられるようになったことが、とても嬉しい。
貴族や平民関係なく、魔力持ちであれば入学できるという。学費は掛からず、通うのが難しい人のために寮もあるそうだ。
「私達も通うことになるのかしら」
私達というのは、私と義弟のレオーニのことである。レオーニは、魔力持ちだ。
前世で魔法を極めてからというもの、私には魔力持ちかどうかわかるようになった。どうやって判別しているのかを説明するとなると、目に見えるわけではないので難しくて、雰囲気というか、なんとなくというか……
あとは、魔力量の大小もわかる。弟子達に話したことがあったが、そんなこと分かるわけがないと言われたっけ。
ちょっと注視すれば分かるのに、感覚でしかないので上手く教えることもできなくて、誰も習得できなかったことの一つだった。
弟子のうち数人は暴走する前に連れて来たので、疑ってはいなかったけれど。
今世でもその力は使えるらしく、レオーニが魔力持ちであることが分かっていたので、気になっていた。
初めて会う人には、注視して魔力持ちか確認する癖が、前世からの付いてしまっているのだ。
そういえば、赤い石の付いたブレスレットを付けていたわね、と目を覚ました時にベットの横で椅子に座っていた姿を思い出す。
この本に載っている魔力放出抑制ブレスレットと、同じものだったと記憶を辿る。
魔力持ちというのも養子にした理由の一つなのかしら。どういった経緯で、シルビー公爵家に来たのか知らないのですべて憶測になってしまうけれど。
でも、経緯なんて関係ない。かわいい弟が出来たことに関しては、連れて来てくれたお父様に感謝しなければいけないわね。
「お嬢様…、そろそろ夕食にされてはいかがですか…?」
ある程度、読み終えたところで、エナがこちらの様子を伺う様に声を掛けてくれた。
どうやら図書室に来てから、すでに数時間は経っていたらしい。
驚きと情報収集の方に意識が集中していたので忘れていたけれど、そういえば朝食以降、何も食べていなかったわね。気がついたら急にお腹も減ってきた。
本棚から持って来ていた読んでいない数冊の本は、後から部屋で読むことにして、エナに預け食堂に向かうことにした。




