ジャイロマン第2話・脳波操獣ブレイガ
1 事件
ロサンゼルス郊外。朝9時。10才のタダシがスクールへ。
校庭に大勢が一定方向を向いて座っている。
タダシ「何してるんだ?」顔見知りの同級生に尋ねる。
「朝の礼拝に決まってるだろ」
「ええっ?イスラム教徒じゃあるまいし。キリスト教でそんなのないだろ?」
校舎に組み込まれている大型スクリーンにアメリカ大統領が映る。
ホワイトハウス前。政治家たちが地面に座っている。
上空から光が降りてくる。
イエスキリストのような上品な顔立ち、羽のあるハンサムな天使。
「ブレイガ様!」「ブレイガ様!」
見渡す限り何千人がひれふして称える。
校庭でも同様。ロックスターに熱狂するような状態。
「祝福を!」
サア!と手を広げた笑顔のブレイガから光が広がる。
人々の傷が治り、病気が癒される。
「おお、奇跡だ・・・神よ・・・」何千人が感激。
いくつかの光が天使の方へ流れていく。
2分後、光が収まる。
天使ブレイガが上空へ。パアッと光って消える。
集まった何千人は元気になった。しかし100人ほどが死んでいる。
タダシ「どういうこと?」
同級生「ブレイガ様は正義の味方なんだ。悪人が来ると殺すんだ」
「へえ・・・」
「次は正午だ」
「え?」
「1日3回礼拝があるんだ。常識だろ。次は・・・あ、ロサンゼルスってテレビに出てる。
シビックセンター前。近くだ!直接ブレイガ様に会えるチャンスだ!」
「タダシ!」テレパシー。
「ジャイロ?」
「あれはブレイガ、生き物の脳波を操って生体エネルギーを食らう敵だ!」
「やっぱり!アメリカ中の人間がコントロールされてるってこと?とんでもないな」
「君は私と契約しているからガードされて影響は出ていない」
2 危機
その日の正午、ロサンゼルスの市庁舎、シビックセンター。
天使の姿のイエス・キリスト(ブレイガ)がひれ伏す群衆の前で光を発している。
タダシは建物の影に隠れていた。
「プラズマスパーク、ジャイロマン!」
大人の超人の姿に変身。
飛んでブレイガに体当たり、そのまま場所を移動。
荒野。対峙するジャイロマンと天使ブレイガ。
ブレイガが光り、2メートルほどの直方体に無数の触手が付いた、本来の姿に戻る。
「やっぱり現れたな、ジャイロマン、サツのイヌめ!」
「あっ!」
ジャイロマンを囲むように10体の怪物。離れて1体。狼男。
「ブレイガは囮だ。まんまとおびき出されたな」
「ウルフガン!宇宙ギャング、グールズの幹部!」
ウルフガン「死んでもらおう!」
トリケラトプス怪人が突進してくる。
かわすと、ティラノ、イグアノドン、プテラノドン怪人が攻撃。
力自慢の格闘戦タイプばかり。
力で応じずに体さばきでかわして。
バッファロー、ベアー、ゴリラ、タイガー、ライオン、カマキリ怪人たちも
アメフトのごとくに襲ってくる。
「プラズマネット!」
エネルギーネットで敵集団の動きを止めて1箇所に集める。
「プラズマスピア!」10個の青く燃える槍が出現、それぞれの急所を撃ち抜く。
「グアアアア!」崩壊して真っ黒いエネルギー体が立ち昇る。
「メギドプラズマ!」両手からプラズマ光線。エネルギー体を焼き尽くす。
こうしないと復活されてしまう。
ウルフガン「今だ!空間閉鎖!」
地面から5つの柱が伸びて高所で集まり、円形にフィールドが展開。
ジャイロマンを中に閉じ込める。
「この檻からは脱出できまい。俺達を捕らえていた仕掛けだ」
3 逆転
「ジャイロマン、取引をしたい」ブレイガのテレパシー。
「何だ?」
「私は悪人削除のために作られた有機物コンピュータだ。
オーラ測定によると、この星には悪人が星の数ほどいる。
私の生存には1日300人の生体エネルギーが必要。
悪人のみを選択して脳波コントロールして殺す。
グールズは悪人だが私の手には負えない。
君を解放する。 代わりに私を追うのは中止してくれないか?
ああ、もちろん人間への集団催眠は解除する」
「・・・いいだろう」
ブレイガは触手を檻の中央に向けて怪電波を発する。
開く。「裏切り者!」ウルフガンがブレイガに突進、
ビームサーベルでブレイガを真っ二つに。
飛び出してきたジャイロマン対ウルフガン。
ウルフガンは元宇宙刑事。銃の名手。
多彩な銃を物品引き寄せして攻撃。
先ほど大技を使ったジャイロマンは防御、追い詰められていく。
「うわあ!」突然悲鳴を上げて動きを止めるウルフガン。
何かを必死で振り払う。
「チャンス!プラズマブレード!」ジャイロマンはウルフガンの急所を破壊。
煙のように出てくる黒いエネルギー体をメギドプラズマで消去する。
真っ二つにされたブレイガの遺体が無い。
幻術で倒されたふりをしたらしい。
ウルフガンの心を読んで、弱点を幻術で見せ、隙を作ってくれたのだろう。
ブレイガは約束通り見逃すことにする。
今日の収穫は12体。
あと90体ほどグールズと脱走犯がいる。
ブレイガのモデルは、E・E・スミス著「銀河パトロール隊」の上帝族、
「ウルトラマン」のブルトン、「ウルトラQ」のバルンガ。