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14話 宣戦布告

 久しぶりのユグルだ。

 相変わらず長閑な町だ。


 門へ向かうと、今日も守衛は立っていた。


 「お、おお、グラルド。今日は何しに来たんだ……?」

 「国を盗りにきた。見れば分かるだろ」

 「……お前自分の立場をわかってるか?」

 「当たり前だ。通っていいか?」

 「……いや、ダメだろ。次は出頭しに来いよ。無理筋だからな」


 守衛に拒まれた。

 守衛は相変わらずいいやつだが融通が効かないようだ。


 「な、中には入るなよ。絶対入るなよ。そこから動かないでくれ」

 「中に入ったら怒られるのか?」

 「……仕事だからな」


 これでは直接城に行ってユグルの領主を叩く完璧な作戦が台無しになる。

 しかし、守衛が怒られるのは可哀想だ。

 不本意だがここは我慢するしか無いだろう。


 「わかった。ここで待ってるからユグルの責任者を呼んでくれ」

 「いや、いや、責任者というか、憲兵はもうこっちに向かってると思うけどな。悠長に構えてる場合じゃないぞ」

 「そうか。それじゃあ待とう」




 一方その頃、ビバルとヘライオスは藪からグラルドを見守っていた。


 「あのバカ何やってるんだ。正面から向かってどうする気だ」

 「何か作戦があるのでしょう。だ、大丈夫ですよ」

 「あっ、兵士殴ったぞ。おいおい」

 「ビバル殿、先程の発言は撤回します」

 「こりゃダメだな。逃げる準備するか」

 「何言ってるんですか。逃げ場なんてないでしょう。死ぬときは一緒ですよ」




 「おい、貴様!グラルドだな!何をしに来た!」


 憲兵が三人大慌てで駆けつけて来た。

 気が早いことに、憲兵は既に剣を抜いて臨戦態勢だった。


 「俺はユートリアス王国の君主グラルドだ。これより貴国に宣戦布告する。お前たちは今すぐ降伏しろ」

 「降伏だ?一人でのこのこやってきやがって、バカなのかお前は」

 「人のふり見て我がふり直せという言葉を知らないのか?たった三人で俺を捕まえにやってくるとはな」

 「三人な訳ないだろ。今に応援が来る。お前は捕まって斬首刑だ。首を切られてすぐは意識があるらしいぜ。自分の身体を見て後悔するんだな」

 「斬首って、首を切るのか?まるで野蛮人だな……」

 「ズボン破れすぎて短パンになってるやつに言われたくねえよ!というか、靴くらい買えよ貧乏王」


 三人の憲兵は見下すように大笑いした。


 「金が無いんだ。バカにするな!」


 俺は憲兵の一人を殴った。

 苛めっこの向山くんの憎たらしい顔を思い出してしまい、つい殴ってしまった。


 「お、おいおい、やるなら離れてやってくれよ!ここは商人とかも通るんだからさ」


 守衛が怒った。

 通行手続きをしている行商人達は何事かとこちらを見ている。


 俺は守衛の言葉に素直に従うことにした。

 守衛はいいやつだからな。 


 地面でのたうち回っている憲兵を掴みあげて門から離れた広い空地に移動した。

 ちょうど応援も来たらしく、門からぞろぞろと兵士が現れた。

 俺一人相手だと言うのに、兵士は大袈裟に隊列を組んで、一斉に槍を持ち上げ『イーライ!』と叫んだ。

 イーライの意味はよくわからないが、エイエイオーみたいなやつだろう。

 千人くらいいそうな兵士達が一斉にあげた鬨の声は、周囲の空気をビリビリと振動させた。


 これが戦争というやつか。

 間近で見ると凄い迫力だ。

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