祖母の家
祖母の家に行ったとき、
私は井戸水で顔を洗ってから、
座敷にかけ上がり、
大の字になって寝転がるのが
好きだった。
シャツと半ズボンの隙間から、
優しい田舎の風が入り、
汗ばんだ肌を癒やしてくれるし、
遠くの蝉時雨を子守歌代わりに、
うつらうつらするのが好きだった。
ただ、土間の端にある流し台で、
西瓜を切ってくれている祖母が、
毎年、小さくなっていくことは、
あまり好きではなかった。
これから何をしようか……
甲虫いるかな…川に入れるかな……
みっちゃん、会えるかな……
私は、帰省するたびに、
祖母の家で、そんな一日を、
必ず過ごしたのである。