水色の瞳に見つめられて
私達は再び海の底に沈んでいった。
溺れ死ぬかもしれないのに、私はフォルスにしがみ付いてから二回も彼に沈まされているのに、それなのに全く怖いとは思わなかった。
実は私を誘拐しようとしたあの蛇男に捕まっていた時の方が、フォルスの元に戻れた時よりも海の水を飲んではいない。
でも、フォルスと一緒であるならば、私は全く怖く感じなかった。
海水を飲んじゃったのは、私が笑って口をあけてしまったからで、ええ、フォルスのせいなんかじゃない!
いえ、フォルスのせいなのかもしれない。
だって幸せで、フォルスが大好き、フォルスを愛している、を、私は世界中に叫び出したくて堪らないの!
ブクブクと白い泡を立てながら沈む世界は透明な水色だ。
フォルスの瞳と同じ水色に私は溺れているのだ。
太陽の光が金色の帯となって水の中に差し込み、フォルスの栗色の巻き毛に注ぎかかる。
彼は金色の輝きをも纏い、私を悪戯そうな笑顔で見つめている。
そして、彼は私をもっと自分に引き寄せた。
私は彼をもっと自分に引きつけた。
彼の唇は私の唇に迫り、まあ、彼の唇は何て優しくて柔らかいの!
唇はすぐに離れ、彼は私に再び微笑んだ。
彼の右手は天上を指し示している。
ええ、ええ、一緒に天国に行きましょう!
私は天使のような男性によって抱えられ、空のような青い世界を上へ上へと連れ去られる事となった。
ええ、どこまでも一緒に行きますわ!




