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茅根家大集合

 春が料理を作っている間、千夏の部屋で待っててくれと拓に言われた悠は動揺しながらも言葉に従って現在、正座で千夏の部屋で待機していた。


 本棚には教科書や参考書やら本が入っていて、ベッドにはクマのぬいぐるみが置いてあり、床にはピンクの絨毯を敷いている綺麗な部屋だった。


(は、初めて女の子の部屋に来た……。俺はこの後どうすれば…………)


 女の子の部屋に来たときの定番イベントを真剣に悩んでいると千夏が部屋に戻って来た。


「はい。どーぞ。」


 そう言い渡して来たのはオレンジジュースだった。


「あ、ありがとう。」


 悠は素直に受け取り、コップに口をつける。

 少しジュースを飲んだ後、ジュースと一緒に持ってきたおぼんに置く。


(洗ったコップなんだ。何で俺はこんな事で動揺してるんだ…………!)


 自分の変態さと長年の童貞根性が染み付いている為、ついつい妄想をしてしまう。そんな自分を心の中で殴る。


 すると玄関先で音が鳴る。どうやら誰かが帰って来たようだ。


「あっ、優子が帰って来た。」

「優子?」

「うん。私の妹。」

「へ、へぇー。妹いたんだ。」


(千夏ちゃんの妹。可愛い子なんだろうな。)


 そんな事を思っていると、扉が開き、少女が姿を現す。


「お姉ちゃん。ただいま。」

「うん。お帰り。」


 顔は流石姉妹と言うべきかとても似ている。肩までかかる髪をまとめていて、スポーツをやっているのか、体の線が細く、引き締まっていた体をしているのが服を通してもわかった。


「げっ……誰?そのイケメン。」

「この人が新垣悠君。言ってなかったっけ?」

「ふーん。」


 そう言った後、千夏の妹の優子が露骨に嫌な目をして悠を見つめる。


(本人の前でイケメンって言えるとは度胸あるじゃないか。にしても何でそんな嫌な目をしてるんだ?)


 そんな事を考えたが一旦それは置いておいて、悠は爽やかな笑顔を作り、


「新垣悠です。よろしくね。優子ちゃん。」

「うぇ……」

「うぇ!?」


 思っていた反応とは違い、悠を軽蔑の眼差しを向ける。


「じゃあ。」


 優子はそうそうと千夏の部屋の扉を閉めてどこかへ行った。


「お、俺なんかした?」

「ごめん。優子って男が苦手でさ。」

「へ、へぇー。」


(だから俺あんな嫌な目で見られてたんだ……)


 悠は納得し、それと同時にもったいないなと思う。


「あの子。可愛いし、モテそうだからもったいないよな。」

「…………もしかして狙ってる?」

「狙ってないよ。偽物だけど千夏がいるし。」

「ふーん。」


 千夏は小悪魔のように微笑む。


「な、何?」

「別にー。」


(俺なんか変な事言ったか?)



 そう思いながらも悠は千夏の部屋でもうしばらく時間を潰した。

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