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デートのお誘い

「悠君。あーん♡」

「あー」


 甘々な声で千夏のケーキを食べ………。



「ん?」


 目が覚めるとそこは悠の部屋だった。


「……夢かよ。」


 がっくりと肩を落とし、リビングへ向かう。

 リビングに行くと既に朝ご飯が用意されていて、椅子に座り、朝ご飯をいただく。


(あー。さっきの夢の続きが見たい……)


 あれは最高の夢だった。

 夢から目覚め、記憶から消えかけているが、千夏との甘々な時間だったとは悠の頭の中に残っている。


(今日は学校休みだし、ギャルゲー漬けかな……)


 以前なら大いに喜んだが、今は偽物だが、茅根千夏と言う彼女ができ、会えないと言うのは寂しいものだ。



 食事を済ませ、部屋に戻る。



「今日は誰を攻略しよ––––あっ。」


 悠は自分の机にあったワックスを手に取る。


「せっかく買ったんだ。ちょっと練習でもするか。」



 悠は軽くシャワーを浴びた後、鏡の前に座る。



「動画見ながらやるか。」


 髪のセットのやり方の動画を見ながら、ワックスを10円玉程度の大きさを取り、髪に付けてみる。


「んー。上手くいかないな。」


 動画の通りにやってみたが、思っていた髪型とは違い、人前には見せる事が出来ない髪型が完成した。


 その後も手を加えてみるも、やはり思っている髪型にはなれなかった。


(練習あるのみかな……。)


 ワックスの練習を止め、自分の部屋に行き、ギャルゲーをやろうとした時。スマホに千夏からのメッセージが届いていた。


『明日予定ある?』


(これはデートのお誘いなのか!?)


 千夏のメッセージの内容の真相にドキドキしながら文字を打ち込み、千夏へ送る。


『無いよ』

『じゃあ私の家に来て』


「………はああぁぁぁぁーーーっ!!?」


(付き合ってまだ1週間経ってないんだぞ!初めてのデートがお家デートって難易度高すぎだろ!)


『えっ!?千夏の家に!?』

『うん。そうだよ。』


「そんな当然のように返されてもな……」


 千夏の返信に困惑する。流石に早いんじゃないかと悠も思った。


(で、でもせっかくのお誘いだし……)


『……わかった。どうやって行けばいい?』

『私が案内する。最寄りの駅は?』


「えっと確か……」


 悠は最寄りの駅の名前を送り、その後千夏から『おっけ。じゃあ11時集合ね』と来て、話しは終わった。


「あれ?ちょっと待てよ。」


 悠は何か思い出したかのように頭を抱え出す。


(千夏ちゃんの家って事は鶴山とその夫もいるって事だよな!?)


 鶴山は悠の初恋相手。その鶴山が夫とラブラブしているのを、悠は想像してしまった。


「ああああぁぁぁぁっっっーー!!」


 今日一日。悠はこのデートのお誘いを断っとけばよかったと後悔するのだった。

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