現実世界 告白篇二。
場面は戻ってまたあの病室。見えてくるのはあの二人の背中。
相変わらずこの二人は夫婦のように仲良く寄り添い、画面に向かい座っている。
彼女が幸せそうに彼を見つめている横顔が見えた。
『ほらね、見てましたかあなた、あの二人うまくいきましたよ!!』
「、、」
『ナツくんがずっと前からナツキヨちゃんが女の子だって知っていたと判ったら、ナツキヨちゃんはどんな顔するのでしょうか?』
「、、、」
『たぶん、凄く、凄く、驚くと思いますよ。』
「、、、」
妙に心のこもった声。
『見てました?ナツキヨちゃんが最後のビンタしてるとき凄く嬉しそうな顔をしてましたよ。少し笑っちゃいました。』
「、、、」
彼女は嬉しそうに幸せそうに、黙っている彼に喋り続ける。途中もずっとそうやって喋りかけていたのだろう。
『あのときの顔、ナツくんは気づいてたのでしょうか?』
「、、、、」
『相沢くん、なんかナツくんの目に頼って彼女選んでる気がしませんか?』
「、、、」
『それにしても、反省会のときのナツキヨちゃんは怖かったですね。』
「、、、」
『多分、ナツキヨちゃんは自分があんなに怖くなってるとは、おもってないですよ。』
「、、、」
彼女の横顔が徐々に曇り始める。
『ナツキヨちゃんに教えてあげたいです。怖くなってるよって』
「、、、」
『そしたらナツキヨちゃん凄く驚いてナツくんに謝り倒すとおもいます。女性の感ですが。』
「、、、」
『そういえば、ナツくんビンタされて真剣に必死で謝ってましたね。』
「、、、」
『可愛かったなぁ。私も大切な人にあれだけ真剣に謝れたら、聞いてもらえたら、いいんですけど。』
彼女は彼の顔を見つめるのをやめ、画面を向き喋り続けた。
『ねぇ見てました?ナツキヨちゃんがナツくんに抱きついたときの広場の時計。時間が夜の十一時二十二分でしたよ。』
「、、、」
『いい夫婦、、なんてね。些細なことかもしれませんがきっとあの二人はいい夫婦になりますよ。、、丁度この部屋の時計も夜の十一時二十二分になりましたよ。』
彼女は彼のベッドに乗り上げ正面から力強く抱きしめ、何度も、ごめんね、と謝り続けた。
そんな彼女の目からは涙が流れる。
一分たった頃、彼女は彼を抱きしめている腕を緩め、自分の涙を拭う。
『もう十一時二十二分じゃなくなってしまいましたね。』
そういうと彼女はベッドから降り、また彼の横に座り彼を見つめた。
『これで私たちもいい夫婦になれましたか?』
「、、、」
彼女の顔はまだ寂しそうで悲しそう。
彼女は彼の耳元であの言葉をささやく。
「、、、、」
彼はやっぱり黙ったままだったが、彼女の顔は笑顔だった。それはまるで夏に頭を下げたときの夏清のような笑顔。
気づけばまた、彼女の顔は幸せに満ちていた。
『今日はもう遅いので寝ましょうか、あなた。』






