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キシ家の発明品

キシ家の工房に遊びに来た。

200年近くに渡り作られた様々なものが有って、全てをしっかり見ようと思ったら一月でも足りない程だ。

これでも随分始末しているそうなんだけどね。


「その辺にある物は玩具かな。

子供ができた時に色々作ったからね。

試作品や、人に頼まれた物のオリジナルとかがあるはずだよ」

「ほほう」

玩具と言っても見慣れたものではなく、どちらかと言えば博物館にありそう……いやそこまで行かないか?

昭和なオモチャって感じの物だ。


例えば起き上がり小法師、でんでん太鼓、ガラガラ、ベーゴマ、羽子板、だるま落とし、積み木などなど。

メンコなんかもあるけれど、こちらの世界らしく、絵柄は色んな魔獣などだ。

まぁ主に木で作られたオモチャだね。


その中で見つけたいくつかの四角い箱、その一つを手に取ってみる。

箱の横から小さなハンドルが出ているこれって、

「オルゴール?」

箱を開けるとやっぱりオルゴールのようだ。

「ああ、それは悠君に頼まれてね、奥さんにプレゼントするからって言われて作った物の試作品だ。

曲もリクエストだったんだけど、苦労したよ。

そこにある他の物は簡単な童謡だよ」

ハンドルを回してみると、チューリップやきらきら星、サクラサクラなど、子供の頃に聞いたような曲が流れてくる。

「悠君と秋彦さんの注文はいつでも風変わりだからねえ」

「そんな変わった曲だったんですか?」

僕が尋ねると、二つのオルゴールを手渡された。

まずは牧さん用の試作品を聞いてみる。

「……知らない曲ですね」

「何でも好きだったアニメシリーズの挿入歌だとか」

あー、そりゃあわかんないわ。

こりゃあ秋彦さんの方も似たような感じかな、などと思いつつハンドルを回す。


「ピンピビピビビビピンピンピン ピピン」


…………は〜⁈

もう一度……


「ピンピピピピピピピンピンピン ピピン」


この独特の節回しは……。

「君は知ってる曲なのかい?

秋彦さんが言うには『昭和の人間なら誰でも知ってる曲』と言ってたけど」

「あー…はい、知ってます」

あの夕方の長寿番組だよね、座布団持ってきたり引っ込めたりするやつだよね?

「これと、大家族の日常アニメと、8時に集まる番組と、どんな料理でもあっという間にできる番組とで悩んだそうだけど、僕の技術ではアップテンポの曲は無理だから、これになったんだよ」

………………秋彦さーん!

いや、こう言うおふざけ嫌いではないけれど、わざわざ作らせるものでもないでしょうに。

「君にも一つ作ろうか?

リクエストの曲があるなら歌ってくれ」

「…………それなら……」


遠慮なく作ってもらったオルゴールを牧さんと秋彦さんに披露したら、ウケてくれましたよ。


え?なんの曲って?

昭和から続く長寿番組で、誰にでもわかる世界的に有名なアニメと言えば、青い猫の曲でしょう。

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