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蟲の王に、俺はなる!  作者: グリー
3/6

絶望

四日目の朝が来た。

昨日までの俺なら、朝が来るたびに鬱になっていたところだ。だが!これからは別だ!

〈強者〉のおかげで、俺は他の魔幼虫よりもだいぶ安全に強くなれる。

これからは毎日魔物を倒して、人型になってやる。


とりあえず俺は朝一で狩場(自宅下の地面)に

行くことにした。現在俺が自宅としている葉っぱはとてつもなく大きい、今の状態では葉っぱの付け根まで、歩いて大体二時間はかかっている。

歩いている間はやることがないので、

今日の朝手に入れたスキルについて見て見たいと思う。

そう、俺が朝起きてステータスを開くと、スキルの欄に新しくスキルが追加されていたのだ。

それがこちら、


スキル

〈幼虫LV9〉〈生命力LV3〉〈近接戦闘LV1〉

〈ガードLV1〉


どうやら、この世界では一晩寝ないと新たなスキルを習得できないようだ。確かに、日中の経験が一晩寝ることで定着するとはよく聞くけど。


気を取り直して、まずは〈近接戦闘〉、これは

その名の通り、近接戦闘にて補正がかかるようだ

主に、与ダメージが上昇し被ダメージが減少する。

まあ、今はまだレベルが低く全くと行っていいほど効果はないらしい、お守り程度だと思っておけばいいだろう。

次に〈ガード〉、これはvitに補正がかかり、防御するときにどこを守るべきかがわかるらしい。


どちらのスキルも俺の今の戦闘スタイルに合っていて、優秀なスキルと言える。特に、何が何でも死にたくない俺からすれば、vitが上がる〈ガード〉の存在はすっげぇ嬉しい。これからはさらに近接戦闘を挑んで行くべきだろう。ああそう、進化についてだが、昨日進化に入った個体がようやく進化を終えた。

平べったいフォルムに鋭利な六本の足、なによりカマキリのような鎌を持っていて、だいぶかっこよくなっていた。

だが、魔幼虫にとっての進化の真価(シャレではない

は何も攻撃手段が増えただけではない。

デカイのだ。

それはもうとんでもなくデカイ。魔幼虫だった頃よりおよそ10倍は大きくなっており、それ相応にステータスも高まっている。

神は進化のことを上位生物になれると言っていたが、その名の通り、とてつもなく違う。少なくとも、

虫においては、進化するだけで敵はいなくなるだろう。


そうこうしているうちに、ようやく根元までたどり着いた。


この植物は、とてつもなく大きい、

俺自身が幼虫サイズだからそう感じるのだろうが、

虫の体ではすごく時間がかかってしまっている。


気を取り直して、いよいよお待ちかねの戦闘タイムに入っていく。

と言っても、昨日のよりもだいぶ楽な作業であり、敵のいそうな土を探して掘るだけになのだが。


だが、それは太陽がちょうど真上にある頃だった。

近場ではカブトムシの幼虫(仮)を倒し尽くし、だいぶ遠くの方まで来てしまっていた。

そこでいつものごとく土を掘り進めていると、急に何かが飛び出して来て、俺を真上まで吹き飛ばした。

しかもそいつは俺の落下地点に陣取り俺に追撃を仕掛けようとしている。

俺はとっさに幼虫の体でバク転して相手から距離を取った。てか、前世では問題なく出来てたけど、

この体でできるとは思わなかったぜ。バク転。


距離を取った俺は相手を観察してみる。奴はカブトムシの幼虫と同じ形だが、全体的に赤く、2倍ほど大きい。おまけにこちらに威嚇までして来ている。

すると相手から突進して来た。速いっ!

かろうじて横に転がって避けるが、agiなら相手の方が高いようだ。2度目の突進がくる、

さっきより速い!だが、どうやら直線でしかないようで避けるのは簡単だった。

3度目の突進、俺は相手の側面を取り、今度はこちらから突進を仕掛ける。見事にあたって相手の幾らかを噛みちぎった。どうやらvitは通常と変わらないようだ。

だが敵も負けじと、正面を向いて攻撃してくる。

通常のカブトムシの幼虫(仮)ならここで勝負が終わるはずなのに!


そこからはまさに激戦だった。

相手の攻撃をガードして、こちらも相手を攻撃していく。流石に赤カブトムシの幼虫(仮)は強くガードしきれずに体のあちこちをかを噛みちぎらてしまった。

これ、明日の朝ちゃんと治んのかなぁ。

だが、俺のHPが4分の1を切ったころ、ようやく

赤カブトムシの幼虫(仮)が動かなくなった。


途端にとんでもない力が湧いて来た。

今ならこの赤カブトムシの幼虫(仮)も簡単に倒せる気がする。

なんか、ステータスみるのがこわいなぁ…。


…ステータス、オープン



《ステータス》

nameなし

race 魔幼虫

LV 15 Max(進化可能)

HP 12/60

MP 19

str 48

agi 25

vit 49

int 16

スキル

〈幼虫LV Max〉〈生命力LV6〉〈近接戦闘LV2〉

〈ガードLV3〉

ユニークスキル

〈強者LV2〉

称号

〈異界の魂を持つもの〉



んん?




《ステータス》

nameなし

race 魔幼虫

LV 15 Max(進化可能)

HP 12/60

MP 19

str 48

agi 25

vit 49

int 16

スキル

〈幼虫LV Max〉〈生命力LV6〉〈近接戦闘LV2〉

〈ガードLV3〉

ユニークスキル

〈強者LV2〉

称号

〈異界の魂を持つもの〉



ファッッ

めっちゃ強化されてる!

思わず二度見するくらい強化されてる!


一体なんでこんな強くなったんだ?strやvitに至っては10くらい上がっているぞ?

ステータスを見る限り赤カブトムシの幼虫(仮)を倒した特典でもなさそうだし。

そうか、〈幼虫LV Max〉だ!説明文を読むとこのスキルは、LV Maxになるとレベルアップに必要な経験値が戻る代わりに、ステータスの減少も無くなるんだ!

それにL v2になった〈強者〉も合わさってこんなに強くなったのか。進化もできるようだし、これなら周囲に敵はいなくなるな。


こんなことを思ったせいだろうが、俺はこの後、

強者とはどのようなものか思い知ることになる。


赤カブトムシの幼虫(仮)を倒した俺は早速帰って進化する気だった。

だが、敵を倒すために遠くにいたことで、俺は命を救われる事となる。


俺が二時間ほど這って帰ってくると、ちょうど上から自宅(葉っぱ)が見えた。そこには相変わらずウジャウジャと幼虫が密集していて、その中で進化個体はとても目立っている。俺はようやくその進化個体の仲間入りができると思って、降りていこうとした、その時。


突如、

辺り一面がまるで夜になったかのように暗くなった。驚き、とっさに上を見るとそこには、



巨大な、あまりにも巨大な蟲がいた。



そいつは突然現れて、真っ直ぐに俺たちの葉っぱへ飛んで行く。瞬く間に魔幼虫たちが潰されるか、

下へ落ちて行って死んでしまった。

そんな暴虐の中、進化個体が立ち向かうが、進化個体とその蟲とでは100倍ほどスケールが違う。何も出来ずに、魔幼虫と一緒に殺されてしまう。


だが、それだけでは終わらなかった。しばらくして、その蟲と同じサイズの蜂が何十匹も飛んで来たのだ。

そしてその蟲も、何体か蜂を道連れにしてようやく蜂に殺された。蜂は、巣に持って帰るのか、蟲たちの死骸を持って行って何処かへ行ってしまった。

俺は、一部始終を見るだけで一ミリも動くことができなかった。



なんなんだよ、あの化け物達は!

俺よりはるかに強かった進化個体が、何もできずに殺された!

多分、あいつらだけじゃない、もっと他にもあのぐらいの化け物はあるはずだ!

一体どうなってんだよ!この世界は!




去りゆく蜂を見ながら、

俺はとてつもない絶望を感じていた…。








〈ガード〉

vitが上昇する

どこを守るべきか直感でわかるようになる。

防御した時ダメージが減る


〈近接戦闘〉

自分から半径1.5メートルの空間で戦闘する時、

被ダメージが減少する。

自分から半径1.5メートルの空間で戦闘する時、

与ダメージが増加する。


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