プロローグ
その日はなんの変哲も無い日のはずだった。
おれ、黒崎真司はいつも通り
大好きな彼女と登校して授業を受け、彼女や友達とダベっているだけだった。そう、SHRの時間、突如教室が爆発しなければ。
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一瞬の後、俺はただただ白い空間にいた。
とっさに体の無事を確認しようとするが、まるで石になったかのように動かない。
唯一動く視界には半数ほどのクラスメイトと頭に光輪、背中に羽を生やした見るからに『天使です!!』と言わんばかりの少女が見える。
煌めくブロンドの髪や、人形のように整った顔は、ある種の神聖な美しさを感じさせる。
まぁ!俺の彼女の方が!かわいくて美しいがな!
くだらないことを考えていると、ようやく天使(仮)
が口を開いた
「はいっ!K高校2年○組のみなさんが揃いましたので始めさせていただきます♪」
視界の中には半分程しかいないが、おそらく俺の後ろにも人がいるのだろう。彼女も来ているようで、
少しだけ安心してしまった。
だがその安心感は天使(仮)によってぶち壊された。
「あなた達は、とある国から発射された核ミサイルによって全員!死んでしまいました☆」
輝くような笑顔で、弾んだ声で、奴はそうのたまいやがった。ならば、これから俺たちは死後の世界とやらに連れて行かれるのだろうか。
はっきりとわかるのはコイツを天使と呼んではいけない。悪魔だ、天使(悪魔)だ。
「ですが!あなた達はluckyですね!本来ならば、
即座に輪廻転成の輪にぶち込むところです。」
「しかし核兵器だけはいけません。本来、人の死は自然にあるものですが、あの兵器はその摂理を捻じ曲げちゃってます☆。なので!あなた達はもう一度の生を与えます!」
「あなた達は異世界に転生してもらいます!転生先の場所と種族は完全なるラン☆ダムです!人間だったりミジンコだったりします!ですがご安心ください♪
その世界には進化があり、誰でも上位生物となることができます!」
…ありえない。こんなありふれたラノベのような事に遭遇するなんて。しかも転生するのが人間じゃないかもしれない!?冗談じゃない!
俺が一体何をしたって言うんだ!
「皆さん混乱しているようですね〜♪では!今から 十分後にしっつもっんターーイム!!を取ります。 出席番号順に一人15秒喋れるようになります☆。その間の質問はなんでも答えてあげます♪」
これは、嬉しいな。最悪なんの情報もなしに放り出されると思っていたから、このQ&Aは素直に有難い。
質問時間的に一人一問、だがこの状態では有効な質問は十問あるかないかだろう。
本音を言えば15秒なんて全然足りない。一時間でも足りるかどうかだ。だがこの金縛りを見る限りコイツは強大な力を持っている。きっと、俺には何にもできないだろう。
現状、俺の優先順位は一位が生きる事と彼女のそばにいる事、二位が地球に帰ること三位が上位生物とやらになる事だな。
俺にとって最悪なことは彼女とあったのにお互いに気づかないことだ。そう考えると大体質問は決まったな。あとは十分待つだけだな。
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「では、今から質問タイムに入ります。1番からどうぞ」
一番目の質問
Q「地球には帰れますか?」
A「不可能です♪世界の移動は魂しかできず、私たち天使でもできません。」
四番目の質問
Q「進化とはどうやってするんですか」
A「レベルアップするか条件を満たすことでできます。」
六番目の質問
Q「その世界は僕たちで言うゲームのような世界?」
A「イエス☆」
俺の質問(10番目
Q「転生者同士はどんな姿でもわかりますか?」
A「ノン☆、ですか人型になりますと顔は前世に近づいています。」
十五番目の質問
Q「チートはありますか?」
A「ラン☆ダムなスキルと特殊な称号があります」
十八番目の質問
Q「ドラゴンなんかにもなれるの」
A「転生先は全ての種族から選ばれます♪また、進化することでも可能です♪」
二十三番目の質問
Q「地球で私たちはどういう扱いになるんですか」
A「核ミサイルをくらい死にました☆」
三十三番目の質問
Q「核ミサイルの直撃を受けた他の人たちはどうなりましたか?」
A「全校生徒が、各クラスごとに違う世界へ旅立ちます。」
ここまでで出てきた有効な質問はおよそ8問、その他の質問は支離滅裂だったり、スリーサイズだったり、
時間内に終わらなかったり、スリーサイズだったりして、質問になっていなかった。
今まで出た情報をまとめると
○ファンタジー世界(ゲーム系?)
○地球には帰れない
○人型にならなければ誰がクラスメイトかわからない
いかんせん情報が少なすぎるが、最低限のことはわかった。俺が彼女と会うには、敵を倒し、人型にならなければならない。
今まで極々普通の生活を送ってきた俺にそんなことができるだろうか、まったくもって自信がない。
果たして俺は異世界なんてやっていけるだろうか。
そうこう考えているうちに俺の彼女、若月瑠璃の番が回ってきたようだ。
「三十八番の方、どうぞ。」
「真司!」
いきなり俺の名前が呼ばれた。動けないせいで振り向けない自分が恨めしい。
「私はどんな生物になっても生きてやる!だから真司も絶対に生きて!
向こうで必ず会うわよ!愛してる!」
「…えー、これで質問タイムを終了します♪そして
送還タイムに移ります☆」
天使(悪魔)がそう言った瞬間、真っ白だった空間がサイケリックに発光し始めた。
だが俺の中にはさっきまで感じていた絶望感や、やるせなさはもうない。
どんな生物になるのか、俺が戦えるか、不安は尽きないが、それでもやってやる!
異世界だろうが、ゾウリムシだろうが、
かかってこいやー!
そうして、俺の意識は闇に飲まれて行った。
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俺は、闇の中にいた。身じろぎしても、弾力のある壁に阻まれていてしまう。そのうちに腹が減ってきて、
その壁に噛り付いたら簡単に食べれてしまう。
食べていくうちに、光が見えてきた。
闇から抜け出すと、そこは大自然だった。俺はとてつもなく大きな葉っぱの上に立っていて、見渡す限り
巨大な大樹や大きな川、苔むした岩が転がっている。
そのとてつもなく雄大な自然の前に、俺は大事なことを忘れていた。
それに気づいたのは一歩、踏み出そうとした時だった。
…うぞる
明らかに、人間ではなかった。ていうか足なかった。
試しにもう一度移動してみると。
…うぞる…うぞうぞ
もう間違いなく、葉っぱの上を這って移動してやがる
俺ってまさか幼ty…
そこで考えるのをやめた俺はとりあえず振り返って、
絶句した。
なぜなら、そこには、俺が出てきたであろう虫虫しい卵と、その背後にある無数の卵とこれまた無数の幼虫がいたのだから。
……異世界だろうが幼虫だろうがかかってこいやぁ!
…スイマセンだいぶキツイっす
これが初投稿です。至らぬ点は多々あると思いますが温かい目で見てください。