第三話『夢の続き』
手術終えたあの日から、毎日同じ夢を見る。
私がいた小学校…理科室…男の子。
記憶は薄れているけどちょっと覚えているあの日のこと。
私は当時好きな男の子がいた。
今思えば純粋に人を好きだと思ったのもそれが
最初で最後だった。
友達がからかって
私の名前でその男の子にラブレターをだした。
その日の休憩時間に
私の引き出しの中に理科室に来てとその男の子から手紙があった。
そこで終わる短編な夢。
でも妙に続きがきになって仕方がなかった。
朝それを考えてぼーっとしていた。
「なつき?」
「あ、お母さん。おはよう」
「あんた最近疲れてない?」
「…ううん、大丈夫。」
疲れてたって仕事には行かなきゃなんでしょ。
「母さんみたいになってほしくない。母さんおばあちゃんに頼んで実家に帰れるようにしようか?」
「え、なに急に・・・」
正直驚いた。
あんな夢を毎日見るせいか帰りたいとは思っていたんだ。
「なつき、父さんも子供を育てていく環境ならそっちのほうがいいと思うぞ」
…この現状を打開できるなら、夢にのっかるのもありかなとおもった。
「でもお父さん、おばあちゃんにあってなんともないの?」
「おばあちゃんね、腰が弱くて畑ができなくなっちゃったんだって。お父さんが手伝うっていったら喜んでたよ」
「お父さん手伝えるの?」
「俺も昔はよく手伝ってたよ、ばあちゃんたちの畑。」
「そっか・・・お父さんたちがそれでいいなら私もそれでいいとおもう。」
働かずにいたお父さんが働いてくれるなら
また普通の家庭に戻れる・・・。
そう考えると今までしまってきた涙あふれそうだった。
貯金はある程度していたので
翌月には実家に帰ることになった。
案外スムーズに引越し作業は終わり、
自然に囲まれた一軒家に子供たちと過ごせる事が
本当に幸せだった。
帰ってきて早々昔の友達から連絡があった。
「今日小学校の同級生みんなあつまるんだけどこん?」
両親が子供たちを見てくれるといってくれたので
行くことにした。
「小学校の同級生か~。懐かしいな~。」
ここで夢のつづきを見れるとは思いもしなかった。