初めての軍
フリースクールに編入をした。
丁寧に説明を受けて、
電子の生徒手帳のアプリをインストールする。
「〜であるからして」
2週間が経過した。
授業で何回かエルの姿を見たが話しかけれずにいる。
新しい友人もできたが、
向こうは才色兼備とも言えるように男女問わず仲良さそうだ。
「そういえばヒロって二軍だろ?」
「俺ら三軍だけどいいのか?」
友人がふとそんなことを言い出した。
二軍?三軍?
よく分からないままだが言われるままに生徒手帳のアプリを覗く。
普通の生徒手帳。
下に選択がある。
左下に生徒手帳。校則。ランキング。
ランキング…?
学年順位という訳ではなかった。
一軍…名前がズラっと並んでいる。
二回画面を指で叩くと自分のランキングが見える。
二軍に名前がある。
ふとエルを探す。
一軍…いない。
二軍、三軍…いない。
四軍、五軍…いない…?
「どういうことだ…?」
教室でいきなり話しかけたりしたらあちらも驚くだろう…。
廊下をボンヤリと眺めているとこの前の少女が横切る。
「ねぇ、あの子は…?」
「金髪の子?確か…一年生じゃなかったか?」
「名前は知らないけど」
一年生…。
考え過ぎかもしれないが廃校舎に行ってみることにした。
謎解く探偵のような好奇心だ。
俺もあの居場所が欲しい。
さすがに開いてない…。
廃校舎に来たが鍵がかかっていて入れない。
木に登って二階の窓に飛び移るか…?
そう思って木に登る。
カランカラン。
鈴の音がする。
木に登り木が揺れる度に鈴の音がする。
雨風で少し剥げた猫の方をした鈴だ。
紐が劣化していたからか簡単に取れしまった。
「こんなとこに鈴…?」
鈴を手に取ると下から聞き覚えのある声がする。
「合格だよーヒロ」
ニコニコというかニヤニヤというか…よく分からない表情のエル。
「ようこそ。ランキング外部活活動へ」
木の上にいる俺に向かってエルは手を差し伸べる。
まるでその手を取ったら…引き返せないみたいに…。
「ヒロっ!??」
木の上からエル目掛けて飛び降りる。
「っだぁぁ…」
下敷きになったエルを眺めて言う。
「勝手にいなくなりやがって!!せめて転校したわ。の一言あってもいいだろ!!そのくせ周りには人居るし、話しかけにくいし、なんなんだよ!もっとあるだろ!!」
興奮してか久々の再開だからか早口になりながら言う。
「これが青春ってやつだ」
「エル大丈夫…?」
「お前も猫みたいで気に入った!子分1号にしてやる」
コロコロと声が変わる少女が駆け寄ってきた。
「外じゃなんだ…案内してやる。感謝しろー」
「立てる…?」
「軟弱者共め」
少女のパペットに軽く手を乗せる。
ふかふかとしていて可愛い。
「改めまして…私はランキング外部活活動副部長のローカロンと申します。そしてこちらは…」
「偽手だ!よろしくな子分!」
丁寧で可愛らしい口調の少女は廃校舎の中へと招く。
「部長が待ってるからな…早く行こう」
「部長…?」
「ローと俺は副部長で、部長混ぜて3人だったけどさ。ヒロは今日で4人目だからな」
エルは頬を掻きながら言う。
コンピュータ室の隣。
相談室。
スライド式のドアの先に、赤い髪で高めの男子生徒がいた。
顔立ちは大人っぽく…高校生と言われたらそうにも見える。
「私が部長のガルムだ。ヒロ…くんだね」
広めの教室の中で歓迎される気分は良い。
「これからよろしくな」