ランキング決め
投稿してから、書き直しました。
前より読みやすいはず!!
「なんでこの学校は生徒の人数が多いの!?」
ランキングを決めながら大声を出して騒ぐとやを笑いながらエルが言う。
「パソコンあるだけマシだろ!」
エルが器用に話しながらも文字を打ち込む。
「確かに…パソコンなかったら大変だね…」
マリーはエルに納得して首を縦に振る。
「ってことで…あと少しだから頑張れ!」
納得させてからエルはパソコンに向かって黙々と文字を打ち込む。
「疲れたぁ…俺様はお腹すいたぞ」
「かぼちゃちょこぱん食べたい…!!」
『かぼちゃちょこぱん』とは、
サクサクのクロワッサンの中にかぼちゃとチョコレートをクリーム状にした、
売店に売られているボクの好物である。
「終わったら買ってやるから早く終わらそうな!」
ガルムさんはそう言いやる気を出させる。
「やった!よし、頑張る!!」
とても単純思考だと皆が思う中、集中力を高めパソコンに文字を打ち込む音が部室に響き渡る。
そして数分後にエンターキーを押してパソコンを閉じる。
「終わった!」
山のような書類の中で終了を告げる。
「じゃあ、ランキング更新するよ?」
「頼む!」
ガルムの合図とともにヒロがパソコンを使いアプリを素早く更新させる。
「はい、完了!」
ランキングには一軍から五軍までがある。
一軍が1番権力が高い。
五軍が1番権力が低い。
それをまとめあげるのも我々の務めだ。
ヒロがスマートフォンを確認してからパソコンを閉じる。
「さすがはパソコン大好きヒロ!」
「パソコン大好きじゃなかろうがこのくらい誰でも出来るでしょ」
幸がおだてるがあっさりいつも通りに返事を返す。
「ガルムさん!終わったからかぼちゃちょこぱんを買いに行きましょう!」
「早くしねーと売り切れちまうだろ」
ボクと偽手はキラキラとした目をガルムに向ける。
「はいはい、わかった。みんなも行くだろ?」
呆れた様にみんなにも聞く。
「行く!ガルムのおごりでな!」
しれっと押し付けた幸も勢いよく立ち上がりにこっと笑う。
「ふぁぁぁ!!美味しそう!」
ボクの目の前には美味しそうなお菓子やパン等が並んでいるが、迷いもなく真っ先に『かぼちゃちょこぱん』を手に取る。
「甘いパンも美味しいよね!」
優柔不断なとやが私の隣に立つと陳列されているチョコいちごパンを手に取る。
「じゃあ買ってくるからちょっと待ってろ」
ガルムさんがおごってくれたので、
売店の外にある自販機で飲み物を買うことにした。
「あっ、僕はオレンジオーレがいい!」
僕は指を指しながら急かす。
オレンジオーレとは、強炭酸のオレンジと乳酸菌入の飲み物である。
この前、とやに飲ませたら喉が死ぬとかなんたらって言ってた。
普通の人が飲むと1回は必ず吐くらしい。
一通り飲み物を買う。
「とやくん。一息ついたばかりだが…少しばかり仕事が増えそうだな」
売店から見えるプールを見ながら偽手が言う。
「どういうこと?」
とやが不思議そうに首を傾げる。
「今日は肌寒いだろー?そんな日にプールを利用するやつなんか居ないはずだ。けども…普段、封鎖されているプールの鍵が空いている…」
「よく気づいたね偽手!」
「ま、俺様は天才だからな」
ボク自身がされてきた事だからこそ少しの違和感に気付けた事だが、偽手を通して代弁する。
「俺様とローが行って生徒の情報を部員に流す。とやはみんなに伝えて、すぐにランキングを変えろ…」
「逆な方がいい気がする…」
この学校のプールは塀の中にあり
更衣室を出たらシャワー。その先に50mのプールがある。
今、外には誰もいないが鍵は外されている。
「わざわざプールの更衣室なんて場所使ってんだ。俺様は通りすがりの猫。隙間からさえ見えれば誰かなんてわかる」
「一応これでも副部長だよ?とやが心配しなくても大丈夫」
「ってことだ。早く行け」
とやが不満そうな顔をしながら頷き走り出す。
その姿を見てボクらも動く。
息を整えながら暗闇の塀の中に入る。
ランキングだなんて嫌なものだとも思う。
数字に囚われて…弱者は強者に抗えない。
綺麗事だ。
でも、その数字があるからこそ誰かをいじめたらやり返しがある。
イタチごっこでもあるが、下手に手は出せない。
裏を返せばそういう意味合いにもなる。
「…」
音が聞こえる。
水場の音。
笑い声。
人の泣き声。
苦しくて怖くて…嫌な音。
ドアの隙間に偽手の目を入れる。
「女の子が1人…男の子が3人…」
女子生徒は五軍。
男子生徒は一軍が二人と二軍が一人。
女子生徒は今日のランキング替えで二軍から落とした。
きっとそれで起きた問題だと察した。
だが女子生徒はそこまでの事はしていない。
少しからかった程度。
それを三人で囲って…犯す程の出来事ではない。
五軍だからと言って何をしてもいいなんてこともない。
政杉先生のファイルに女子生徒の事があった。
そこまで恨まれているというよりも、五軍だから。
そんな理由だろう。
「くだらないな…」
「ねぇ…偽手…」
「なんだ」
「ボクは…どうしたらいい?」
「好きにしろよ。俺様が付いてるから怖くないぞ」
正直、勝てる気なんてしない。
それを見て見ぬふりもしたくない。
「ボクは副部長だからね」
更衣室のドアを叩く。
「なんだ…?」
男子生徒の一人がドアを開けた。
手首を掴み死角に寄せて、ハンカチに染み込ませた睡眠薬を嗅がせる。
行為を止めて奥から異変に気付いて二人が来た。
右手には刺股。
偽手が催眠スプレーを持っている。
「俺様が守ってやるからな」
偽手がそう言って一人を目掛けてスプレーをかける。
もう一人に目掛けて刺股を押し込みながら
偽手がスプレーをかける。
「さすが…即効性のある防犯グッズは違うな」
「ありがとう偽手」
奥で震えている女子生徒にブランケットをかける。
「もう大丈夫です。怖かったですね。よく頑張りましたね」
泣き出す女子生徒を横目で見ながら
新しいランキングが更新された事を伝える。
「これ以上はカウンセラーに任せましょう」
「そうだな。さっさと飯にしよう」
塀の外に出ると心配そうな…不満そうな顔のとやが居た。
「お疲れ様」
顔を下に向けながら安心した声でとやは言う。
「とやも…ガルムさんもご協力ありがとうございました」
お礼を言うと隠れていたガルムさんは笑いながら前に出る。
「居たのかよ」
「悪趣味なもんでー」
「部長なんだから堂々と前に居ろ」
ガルムさんは苦笑いをしながら言う。
「さて、それじゃあ戻りますか…俺らの部室へ」