第15話 超短パルスレーザー
第15話 超短パルスレーザー
正弦波を、
Y(t)=Asin(ωt+α)
とすると、ωt+αを位相と呼ぶ。t=0のとき、αを初期位相、または単に位相と呼ぶ。Aは振幅、ωは角周波数である。tを仮に時間とする。また、位相は無次元量である。
ω=2π/T=2πf
である。ωは角周波数(ラジアン/s)、Tは周期(s)、fは周波数(Hz)である。sは秒である。
λ=v T= v/f
である。λは波長(m)、vは速度(m/s)である。
真空中を進む電磁波(光)の場合、速度は光速cに等しいため、
λ= v/f → f=v/λ → f=c/λ
となる。
複素数を用いた正弦波は、
Y(t)=Acos(ωt+α)+iAsin(ωt+α)
となる。iは虚数単位であり、複素数は実数部と虚数部からなる2元数と呼ばれる。
非線形光学の分野では、従来の電場(方程式)に比例しない発見がいくつか報告されている。例えば、超短パルスレーザーなどは、1フェトム(10の-15乗)秒~1アト(10の-18乗)秒オーダーの電磁パルスを出力し、非線形光学の分野で研究されている。光は1フェトム秒に0.3μm(10の-6乗m)しか進むことが出来ない。また、このパルスは複素数を含んだ式で表すことができる。そして、パルスを波形で表現することは、適当ではない。何故ならば、パルスが空間に対し連続性を持っているのか不明だからである。例えば、パルスを矩形波と表現することがある。これはCPUのONとOFFの信号に用いられる。これによってCPUは2進数を表現することができる。ここで、ONとOFFの間には何が存在するのかという命題を与えられても答えることはできない。また、超短パルスの超短をこのONとOFFの切り替え速度として考えることができる。そして超短パルスレーザーの出力エネルギーは小さくて済む。それは短い時間に出力エネルギーが集中するため、レーザーを照射された物質は高密度のエネルギーを受け取るからである。
利助はチロの言う「もっと弱いエネルギーで光速を超えた放射」とは、このことかと思った。超短パルスは虚数部を持つため、物質界の光速度に捉われる必要は無い。虚数部が2の倍数で指数倍されたとき、虚数部は実数となり物質界に影響を与えることになる。このことから、ONとOFFの間には何が存在するのかという命題の答えは虚数値であるのかもしれない。
この超短パルスレーザーを凸レンズの役割を果たしている超同素体に照射したところ、光のサブユニットを捉えることができた。しかし、その光のサブユニットの構造は、他のサブユニットと同様に構造を知ることは出来なかった。
利助は光のサブユニットを観測し続け、いくつかの性質を発見することになる。1つは特定の可視光を照射すると、約3.43アト秒に0.02アト秒の間だけ照射した可視光を増幅し、分光させてスペクトル化を行うことであった。この性質によって超パルス型光学顕微鏡を開発できるようになった。この顕微鏡の分解能は0.341fmである。