第10話 物性知覚仮説
第10話 物性知覚仮説
核子の構成がいかようであれ、核子が電子に及ぼす力は陽子-電子のクーロン力だけの
ようであることが、第9話からわかる。
シルバは多重仮説ほど強い主張ではないが、力の等価仮説も持っていた。それは、
{2個の物質(対物質)間に与えるエネルギーは、前話のⅠ~Ⅳの力の方程式の関係を満たすとき、飽和エネルギー状態となる。つまり、飽和エネルギー状態の対物質の持つエネルギーは、力と等価であるとして扱うことが出来る(飽和エネルギー状態の対物質のエネルギー値は1価である)。通常、対物質間は空間線から供給されるエネルギーによって飽和エネルギー状態を維持しているから発生したエネルギーは1個の物質に与える運動エネルギーとなることが多い。運動エネルギーを与えられた物質は移動するため、自分自身と対を組んでいる全ての対物質の状態が変化することになる。それでも対物質間の状態は空間線から供給されるエネルギーによって飽和エネルギー状態を維持する。しかし、運動エネルギーだけが飽和エネルギー状態に(光速と等しく)なることが困難なためエネルギーと力を等価として扱えないことになる。そして、運動エネルギーは前話のⅡと密接な関係がある}
というものであった。
さて、以前に物質が反応するためには、反応対象の情報を知る必要があると述べた。つまり、物質(a)が物質(b)に反応するとき、物質(a)は物質(b)が反応可能物質であることを知っている必要がある。そして、物質(b)の性質により反応の機序を決定する。また、物質(a)が物質(b)に対し一方的に反応を求めることもあれば、相互の情報交換により反応が行われることもある。これを物質の知覚力と呼び、空間線から構成される物質のサブユニット内では、情報の保存が行われているため他の物質に対する知覚力は必要ない。尚、電子(陽電子)は1つのサブユニットで構成されているため知覚力が高いといえる。また陽子-中性子間の電子交換に使われる物質(変換質量であると推測されている。または単にサブユニットかもしれない)も1つのサブユニットで構成されていた。そして知覚力はエネルギーとは無関係であり、前話のⅠ~Ⅳの力とも無関係である。
知覚力は桃九の仮説であり、物性知覚仮説と呼ばれる。物質の形状の全てを頂点に置き換えたときの座標配置により、物質は固有の情報(次元数値)を持つことが出来る。現在、桃九はその次元数値化に苦慮しているようであるが、それは知覚力全体の部分であり、説明のための支障とはならない。補足として、凸型を構成する外周の点集合とその内部の点集合は区別して扱われる。
物質は空間線から構成される物質のサブユニットの集合体であることはわかっている(現在知られている単体のサブユニットから構成される物質は上述の3つだけであり、これを限界素粒子と呼ぶ)。現在知られている物質の最小単位は、上述の3つ以外に素核子だけである。限界素粒子と素核子の集合体は元素となり、元素の集合体は分子となる。このとき元素も分子も局所的に全体集合となり固有の数値を持つ。分子はさらに集合体を作って高分子化合物となるが、元素と分子や高分子化合物が互いに反応するためには知覚力を備えている必要があり、頂点数が増えるに連れて知覚速度も遅くなると推測している。知覚は反応の前段階であり知覚力による情報収集速度が遅いと反応も遅くなる。