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脈流  作者: 智路
6 黎明の技術爆発
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第5話 元素の族

第5話 元素の族

 シルバとアサリによって核子の構成と元素の性質の関連性の調査が始まった。しかし、この調査は、困難というより不可能であるように見えた。あまりにもわからないことが多すぎるのである。今日我々はこの元素はこういう性質を持っているという経験則から物質を扱っている。何故、この元素はこういう性質を持っているのだろうと考える人は少ない。拠って、シルバとアサリは仮説をたてて実験や観測を繰り返し、仮説が途中で頓挫したりおもわぬ結果を生み出したりすることになる。

 最初は、多重仮説と元素の相の関連性を確かめて見ることにした。相は基本的に、気相(気体)、液相(液体)、固相(固体)の3つであり、温度と気圧の環境により互いに相は転移を起こす。通常状態の物質は、気相⇔液相⇔固相と順番に相転移をするが、昇華と呼ばれる気相⇔固相の相転移現象も存在する。また、物質は臨界点を持ち、それ以上の温度・圧力環境において超臨界流体の相を持つようである。超臨界流体とは、気体の拡散性と液体の溶解性を併せ持つ気体でも液体でもない相である。シルバとアサリは基本となる3つの相だけに焦点を絞った。

 元素の族が出発点となった。元素は18の族に分類される。同じ族の元素は似たような性質を持つことがわかっている。中には例外的な元素も存在するが、彼らは例外を考慮していると大局がつかめなくなる可能性があるため無視することにした。

 第1族(アルカリ金属)の考察から始めた。アルカリ金属は、元素番号3,11,19,37,55,87番の元素が属する。尚、元素番号1番の水素は例外とされアルカリ金属には属さない。この族の共通点は最外殻電子を1つ持っていることである。この族の核子の構成モデルは容易く考えられた。というよりどのような核子の構成モデルであっても矛盾なくアルカリ金属を説明できるのであった。唯一、問題点(注意点)として挙げられたのが、核子の構成と電子の配置の間に関連性はあるのかということだった。そして、比較できる族がなければ核子の構成モデルは自由であるから、次の族の調査に入った。

 第2族(アルカリ土類金属)は、元素番号4,12,20,38,56,88番の元素が属する。4ベリリウムと12マグネシウムは例外として扱われることがある。この族の共通点は最外殻電子を2つ持っていることである。しかし、これでも核子の構成モデルは自由であった。

 第3族(希土類)は、元素番号21,39,57-71,89-103番の元素が属する。この族の共通点は3価の陽イオンになりやすいことである(シルバはここがよくわからなかった)。

 第4族(チタン族)は、元素番号22,40,72,104番の元素が属する。この族の共通点は最外殻電子を2つ持っていることである(これもよくわからなかった)。

 第5族(土酸金属)は、元素番号23,41,73,105番の元素が属する。この族の共通点は電子配置が周期性を持っていることである(同上)。

 第6族(クロム族)は、元素番号24,42,74,106番の元素が属する。この族の共通点は電子配置が周期性を持っていることである(同上)。

 第7族(マンガン族)は、元素番号25,43,75,107番の元素が属する。この族の共通点は原子価を最大7個持っていることである。原子価とは他の原子との結合数である。

 第8族は、元素番号26,44,76,108番の元素が属する。この族の共通点は電子配置が周期性を持っていることである(同上)。

 第9族は、元素番号27,45,77,109番の元素が属する。この族の共通点は電子配置が周期性を持っていることである(同上)。

 第10族は、元素番号28,46,78,110番の元素が属する。この族の共通点は電子配置が周期性を持っていることである(同上)。

ここで8~10族に属する元素は化学的性質により別の2つに分類されることもある。

鉄族元素…元素番号26,27,28番の元素が属する。

白金族元素…元素番号44,45,46,76,77,78番の元素が属する。

 第11族(銅族、貨幣金属)は、元素番号29,47,79,111番の元素が属する。この族の共通点は最外殻電子を1つ持っていることである。

 第12族(亜鉛族)は、元素番号30,48,80,112番の元素が属する。この族の共通点は最外殻電子を2つ持っていることである。

 第13族(土類金属)は、元素番号5,13,31,49,81,113番の元素が属する。5番(ホウ素)は例外として扱われることがある。この族の共通点は最外殻電子を3つ持っていることである。

 第14族(炭素族)は、元素番号6,14,32,50,82,114番の元素が属する。この族の共通点は最外殻電子を4つ持っていることである。

 第15族(窒素族)は、元素番号7,15,33,51,83,115番の元素が属する。この族の共通点は最外殻電子を5つ持っていることである。

 第16族(酸素族)は、元素番号8,16,34,52,84,116番の元素が属する。この族の共通点は2価の陰イオンになりやすいことである。

 第17ハロゲンは、元素番号9,17,35,53,85,117番の元素が属する。この族の共通点は1価の陰イオンになることである。

 第18族(希ガス)は、元素番号2,10,18,36,54,86,118番の元素が属する。この族の共通点は最外殻電子が閉殻となっているため、化学的に不活性なことである。

と、ここまで全てを考察してみたが(実はシルバとアサリは途中で飽きてきたのだが)、核子の構成モデルと直結するような発見はなかった。気になる点(突破口になることを期待)はいくつかあったが、明日以降に新理論の構築に取り組もうと思っていた。


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