表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脈流  作者: 智路
5 銀河の旅人
80/114

第13話 帰還

第13話 帰還

 アバはサンガのことを地球に報告した。チロは驚きもし喜びもしたようだったが、予定の観測は行ってから帰還せよとの指令であった。ただ、チロからサンガに「心待ちにしている」とのメッセージは送られてきた。

 明日に帰還をひかえて382日を要していた。順調にいけば地球への帰還時には2年丁度くらいとなると思われる。初航行としては上出来といえるだろう。帰還はグリーン号が先行し、タンタ176号(サンガの飛行艇)が後続となった。こうして、グリーン号は無事に任務を終えて地球に帰還した。

 ムー5では歓声が起こり、何日もお祭りのようであった。しかし、真っ先にサンガを出迎えると思ったチロの姿は見えなかった。サンガも気落ちした様子でチロが現れるのを待っていたが、その気配はなかった。

 ある夜、タンタ176号の格納庫に怪しい雰囲気が漂っていた。しかし、人影は全く見えず、その雰囲気に気付く者もいない。気付いているのは筆者だけである。チロは、タンタ176号を詳細に調べていた。

「やはり、こんな小さな機体で恒星間航行できるはずがないと思ったわ」

 それから数日チロはまた姿を消す(筆者の前から)。

 チロはグリーン号が帰還してから2週間後に皆の前に桃九を通して姿を現した。

「ごめんなさいね。ちょっと野暮用があったものだから。サンガ、こちらにいらっしゃい」

 サンガは喜び勇んでチロ(姿は桃九であるが)の前に来た。ここで、チロの近親者の系図を紹介しておきたいが、その前にこの世界の構図を述べておきたい。神の子が投入した源根子により空間線が作られ空間線は、いくつかの世界を象造っていった。我々が住む物質世界もその1つである。源根子と共に投入された桃の精は数十あるが、13の精だけが物質世界に住むことを望んだ。桃の精は精神体となり、精神分割を行ったが、2回の分割の後、分割により記憶が薄れることに気付いた精がいた。その1つがチロである。最初の桃の精を第1世代とするとチロは第3世代となる。13の桃の精が第3世代まで分割したのでチロは桃の精の原型を持つ最古の存在となる。同時に対となる姉弟の弟を1つ持つ。精神体に男女の区別はないが、その性質によって男を名乗ったり、女を名乗ったりした。もちろん生殖能力は持っていない。また、従兄弟にあたる精神体を2つ持っている。その1つがセイトである。もう1つの行方はわからない。サンガはチロの弟の孫にあたり第5世代の精神体であるが、何故か肉体に宿ってしまった。今のところ天の川銀河に存在する精神体は13の桃の精の1つの分割体であるチロとセイトだけのようである。サンガが存在するということは、チロの弟は精神分割を進めたということであり、存在していなく子孫精神体を増やしたということを意味する。

 種明かしが早いが、チロの野暮用は、太陽系から半径1万光年くらいの偵察であった。チロはサンガをセイトの偵察要員ではないかと疑っていたのである。それならば、地球の座標位置を知った今、宇宙艦隊が向かっていてもおかしくないのである。もしも、宇宙艦隊が向かっていたのならば、チロは独自でなんらかの対処をしなければならないと思っていた。しかし、その様子はなかったようである。つまり、サンガへの疑惑は少し晴れたのであった。何故、サンガに疑惑を持ったかという最初はこの広大な天の川銀河での偶然の遭遇が考えにくかったからである。そして、タンタ176号を調べた結果、疑惑は確証に近づいたのであったが、タンタ176号の秘密は後程と言うことにしたい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ