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脈流  作者: 智路
5 銀河の旅人
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第8話 核処理ウイルス

第8話 核処理ウイルス

 核反応ウイルスと対になっているのが、核処理ウイルスである。このウイルスは核反応または対消滅により発生したエネルギーを吸収する能力を持っていて、そのエネルギーを使ってウイルスの産卵をして増殖しているようにみえた。

 しかし、脈と脈流の知識を得たアインは別な見方をするようになった。核処理ウイルスも核反応ウイルスと同じようにコドンによる極の座標配置決定法を持っていて、それによりエネルギーを空間線に戻しているのではないかと考えた。すると、そのエネルギーであった空間線は物質界に影響を与えなくなる。拠って、第4話でアインが想定した運動エネルギーも空間線に戻されている可能性が高い。アインは実験によって、これを確かめることにした。(産卵に使うエネルギーは極一部であるらしい)

 話は少し遡るが、アインに助手が一人つくことになった。彼はリーという名の中国人(漢民族)であり、不老率24%の人類代表候補であった。現在、人類代表に選ばれているのは、桃九、利助、円光、アイン、サエの5人であり、彼らの不老率は30%を超えている。チロは明確に人類代表とその候補の境を30%と決めているわけではなかったが、概ね30%が境界値といえるだろう。通常の人類は3~5%であるから10%を超えると不老率は高いといえる。そしてムー5島(今後ムー5と呼びたい)で教育を受ける資格も不老率10%以上であった。20%を超えると研究する資格を得ることができる。尚、不老率は受感部の発達率と幹卵器官の発達率を足して2で割った値である。

 研究する資格を得て1つ以上の成果をあげるか、超人類による推薦をチロが認めるかで人類代表候補となることができる。リーは超人類ではないがアインの推薦であった。多忙であった核反応ウイルスの実験のとき、助手が欲しくてたまらなかった。そこで以前一緒に仕事をしたことがあるリーを助手にして欲しいとせがんだのである。チロがリーの不老率を測定したところ24%であることがわかり、助手でありながら人類代表候補に抜擢されることになった次第である。

 リーという助手を得たアインの研究速度は格段にあがった。手分けして実験を行い、照らし合わせる日々が続いたが、予想より早く実験結果がでた。そして、搭載する装置まで開発してしまったのである。

 実験の結果わかったことは、核処理ウイルスが選択性を持っていることであった。エネルギーを空間線に変換するコドンの座標配置を持っているのは予想通りだったが、このウイルスは核反応ウイルスの影響により発生したエネルギーだけに働いていた。この選択性の条件がわからなかった。例えば、一定時間(1msなど)の経年変化の差分が条件かとも思われたが、未だにはっきりしたことはわかっていない。

 少し話が変わるが、現在わかっている相は物質相とエネルギー相の2つである。この相転換時に失われるものや得るものの存在はよくわかっていない。しかし、2つの相は同じものが相転換したものであり、その座標配置に変わりはない。核処理ウイルスは、この座標配置に亀裂を走らせるようである。核処理ウイルスの対象がエネルギーだけであることを考えると、2つの相に僅かな違いがあるのかもしれない。

 実験はさらに進み、アインとリーが開発した装置は、エネルギー消滅砲であった。尚、この装置の弱点は物質には全く影響を与えないことであった。


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