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脈流  作者: 智路
1 プロローグ
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第6話 精神の触手

第6話 精神の触手

 頭の中を何かに鷲づかみされているような気分であった。しかし、落ち着いてみるとそれは、優しく自分の手をひく母親のような感覚に変わっていった。

「これから桃九には、様々なことを覚えて貰います。理屈で説明するより先ずはあなたの身体の細部を見てみましょうか」

 チロのそれは例えていうなら触手のようなものであった。指が何本あるのか触手が何本あるのか見定めることはできないが、その触手の1本に桃九の精神の一部がつままれているようであった。

「ここが、あなたの肝臓の細胞の内部よ」

 そこは脈動する工場のような場所であった。しかし、無機質なものではなく確かに生命を実感させる工場であったのだ。

「次はもっと奥にいきましょうか」

 光景がかわり、そこには2重螺旋構造のひも状のものが数本見えた。

「これは染色体よ。そこの端にあるのがテロメアになるわ。テロメアは老化を制御する機構の1つになるから寿命にも影響するのよ。あら、ここのテロメアは少し短くなっているわ。修復してみるわね」

 テロメアと呼ばれた部分にチロの触手が数本伸びて、何かを分泌しているようだった。

「今のは、テロメラーゼと呼ぶ酵素の1種よ。でも人の身体には数十兆個の細胞があるから1個ずつ修復していたらきりがないから一気にやる方法があるけど、それは後で教えるわね」

「それ、知っている。人類の誰かが発見しているね」

「そうね。ただ知っているだけね。今の人類はたんぱく質を人工合成できないから。酵素がたんぱく質の1種なのは知っているわよね」

「はい」

「それじゃあ、次はこれ」

「なにそれ、ぼんやりしていてよくみえない」

「そうね。見ようとするから見えないの。精神を集中させて感じて御覧なさい」

「あ!なんかぼんやり光っているような。繊維のようなものも見えた」

「そう。これが生命の元の1つよ。物質であって物質でもないわ。これが身体と精神を繋ぐのよ」

「そうか~というよりよく理解できないよ」

「そうね。最初はこれがあるということだけ覚えておいて。次は細胞分裂の仕組みについて説明するわね。今の人類もかなり進んでいるけど生命の元を発見できないとこれ以上の進展はないわね。細胞分裂の最初は生命の元を残して内部の器官は細胞原質という液体状のものに戻ってしまうのよ。そこで命の元が2つに分裂するの。そしてそれぞれに染色体ができて、細胞核ができていろんな器官が元通りになるのね。ここで大事なのは、生命の元の能力よ。分裂スピード、細胞の強さに影響するし、場合によってはメタモルフォーゼも可能だわ。人の個体差で生命の元の能力は±10%くらいだけど、強く願ったり訓練したりすると能力は何倍、何万倍にも増幅するのよ」


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