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脈流  作者: 智路
4 シンクロニシティ
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第13話 出撃

第13話 出撃

 海王星のU-1型ウイルス絶滅作戦の準備は整った。チロが予測した最悪の日時は後3ヵ月後である。しかも海王星までは最速の攻撃機でも3ヶ月の行程が必要だった。つまり、事態急変の可能性ぎりぎりの日時での攻撃となった。通常の輸送機であれば海王星まで最大速度で5ヶ月強、巡航速度で7~8ヶ月かかる行程もペイロードがゼロの攻撃機だからこそこの作戦が可能であった。

 攻撃機は211機飛び立ち、桃九らは宙を見上げて事の成功を祈るしかすべきことがなくなった。

 3ヶ月が経ち、攻撃を前にしてムーの主だった者が集まっていた。

ラー:「桃九さん、見通しはどうですか?」

桃九:「やることはやったというところです」

モーセ:「成功を祈るばかりですね。ところで気になっていたんですが、U-1型ウイルスは知能を持っているんですか?それに、われらと同じように精神も持っているんですか?」

桃九:「チロさんがいうには、精神と繋がりを持つ受感部の発達はないそうです。それにあのウイルスの学習能力は知能ではなく、自然学習あるいは適応学習が異常に早いため知能があるようにみえるだけだそうです。あのウイルスは、今まで冥王星の氷の下でゆっくりとした進化を遂げたと考えています。冥王星が太陽に近づいたときだけメタンと窒素が反応してあのウイルスが生まれたと考えていますが、生物が誕生する条件は最悪だったようです。チロさんも何故生物が冥王星に誕生したかわからないと言っていました」

ソクラテス:「チロさんがわからないのじゃ考えてもしようがありませんね。チロさん以外の精神体があのウイルスを作った可能性は?」

桃九:「さあ、何もわかりません」

ガリレオ:「あのウイルスはわれらと異なるアミノ酸に似た物質から構成されていると聞きましたが……」

桃九:「水素の組成比が異常に多いそうです。そのため体内で常温核融合を何度も起こしている中にあのようなウイルスになったのではないかとチロさんは言っていました。おそらくあのウイルスの起源は十億年くらい前ではないかと予測しています。予測はチロさんがしたので根拠はわかりません」

ラー:「事態急変の可能性の最速到達日時があの事件のときから半年後とチロさんが言っていましたが、事態急変とはどのようなことですか?」

桃九:「はっきりとはわかりませんが、あのウイルスにまだ発現していないDNA様のものがあるそうです。有機物と言う食料がないと知れば、それが発現する可能性が大きいらしいのです。そもそも眠っていたようなあのウイルスを目覚めさせたのは我々です。開発のために熱エネルギーを冥王星に持ち込んだのがあのウイルスを目覚めさせる原因になったようです。事態急変の詳しいことをチロさんは言っていませんでしたが、推測すると無機物を食料とするのではないでしょうか。すると海王星が太陽みたいに変貌する可能性があります」

 と、このような会話をしているとき、勝智朗が桃九に入ってきた。勝智朗は肉体を持たない精神体なので海王星に作戦の結果を見届けるためにいっていたのである。

「作戦は失敗。攻撃機は全滅」


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