第9話 たんぱく質の構造
第9話 たんぱく質の構造
チロルは桃九に対し最初に宣言した。
「ここでは、人体のたんぱく質の構造を理解してください」
現在の科学ではたんぱく質が合成されるまでの過程で一次~四次構造の形態をとることがわかっている。一次構造については、3章第8話で述べたので詳しくは二次次構造からとしたい。尚、いつものことであるが、詳しいからといって科学的に検証されたものでない可能性が大きく、詳しくもないかもしれない。ついでなので白状すると筆者の興味は一次構造にあり、二次~四次構造の理解は全て一次構造を考えるためにあるといっていい。
一次構造は、アミノ酸を配列した1本のひものような形態である。
二次構造は、一次構造を1次元としたとき、2次元様の形態をとる。例えば、αへリックスやβシートなど複数の平面(2次元としたため便宜的に平面とした)形態を持ち、三次構造への準備をする。何故、1本のひもから複数の形態が生まれるかというと、アミノ酸とアミノ酸を繋ぐ部分が垂直断面を持っていないため、ひもが結合部で捻れてしまうためである。また、アミノ酸同士の結合をペプチド結合と呼ぶが、結合するアミノ酸の一方はアミノ基であり一方はカルボキシ基である(尚、ここで基とは結合可能な分子化合物として扱いたい)。ところが、アミノ基は窒素化合物でありカルボキシ基は炭素化合物であるため孤立電子対を生成してしまう。何故そうなるのかは理解できていないがそうなるようである。問題なのは残った2つの孤立電子で、これが他のアミノ酸と水素結合を作ってしまう。水素結合は非共有結合で引力的な相互作用によるものだそうである。このため捩れはさらに増加することになる。アミノ酸は20種類存在するからどのアミノ酸同士が結合するかで捩れの大きさも決まる。従って、複数の平面体の種類ができるということである。
三次構造は、三次元の立体形となる。二次構造の状態をフォールディング(折り畳み)することで構成される。配列された各アミノ酸は側鎖を持っているから側鎖に原子や分子を結合させながら折り畳むようである。折り畳んでしまうと側鎖が隠れて必要な物質をとりこめないから畳む前にとりこむのだと思う。これをたんぱく質の修飾というようである。筆者は、20種類のアミノ酸からカルシウムを含むアミノ酸を探したことがある。骨がアミノ酸から作られるのならば、カルシウムを含むアミノ酸が存在すると考えたのである。当然、そんなアミノ酸は存在せず、骨はこの修飾によってとりこまれることがわかった次第である。尚、ひも状の1次元配列を作りながら折り畳むようである。1本のひもを作ってからでは、ひもが長すぎて人体の外にはみ出すからだと考えられる。
四次構造は、三次構造によって作られた部分を繋いだ構造のようである。三次構造は、サブユニットという部分をつくるのではないかと思っている。サブユニットは、プログラムでいう共有サブルーチンのようなものでいくつものたんぱく質が同じサブユニットを持つことがあるようである。最小のアミノ酸配列からできたインシュリンは2つのサブユニットを繋いだもののようである。
さて、人体を構成する20種類のアミノ酸(α-アミノ酸)は必ずアミノ基とカルボキシ基を持っている。持っていないとアミノ酸同士を繋げられないからであるが、α-アミノ酸と異なるアミノ酸に似た有機化合物を持つ生物に、α-アミノ酸で作ったたんぱく質を埋め込むことができるかというのが、この章の最大の鍵となる。