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脈流  作者: 智路
4 シンクロニシティ
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第3話 究明の始まり

第3話 究明の始まり

 各部署に原因の可能性を検討するようにガリレオは通達した。その中で、最も可能性の高いのは、コンピュータ・ソフトの部署であった。なんらかの原因で機器の不具合が報告されず、事故の発生を把握できないのではないかと考えたのである。

 ところが、その部署の専門家が言うには、

「他の星からは正常に不具合の情報が得られています。我らは、その対応で過剰労働状態なのに、さらにこんないいがかりをつけられるなんて……」

 専門家はぶつぶつと不平を漏らしながら問題の検討に入った。その結果、

「冥王星だけに不具合が起こる可能性が2つあります。1つは、誰かにクラッキングされていること。1つは冥王星がハード的に不具合を起こす要因を持っていること。1つ目の可能性は100%不可能といえるでしょう。ソフトのコア部分は我ら超人類が作成したものです。これを打ち破って侵入できる人類は存在しません。ましてや超人類で我ら以上の技術を持つものは一人もいません。2つ目ですが、いかに暗号を強化しても通信データは盗まれますし、ソフトで保護してもハード的な手段で盗まれれば、打つ手はありません。これと同じでハード的に通信情報を書き換えることができます。その書き換えを冥王星の持つ要因が行っていることが考えられます。但し、データを盗むこととは異なりデータの改ざんは前後のデータとの整合性をとらなければならず、偶発的に改ざんされる可能性は限りなく100%に近くありえません。冥王星がこの改ざんをできるのなら話は別ですが」

 このように報告を受けたガリレオは、

「冥王星がそんな能力を持っているなど知らん」

と、コンピュータ・ソフトを原因から除外することになった。

 次の報告は、空間制御部署からであった。この部署は、将来のために空間の仕組みを解明し、距離を縮めることを最大の目標に持っていた。超人類の誰もが瞬間移動のできないことは知っていた。瞬間移動(時間0での移動)は、同時に一人の人間が複数座標に存在できることを意味するからである。そのために距離を縮めて1光年を例えば1万kmにできれば、移動に要する時間が約10億分の1になるという考え方で研究は行われていた。この距離の短縮を超時間操作と呼ぶことにしていたが、まだ成果は1つも上がっておらず、今回の事件がこの超時間操作と関係があるか調査に参加したいといってきたのであった。つまり、今回の人の消滅は超時間操作によるものかもしれないと言っているのである。

 脳機能医学部署からも返答があった。

「冥王星から人が消滅したことを地球では報告以外で確認できているのですか?そうでないならば、そういっている星域を教えてください」

 ガリレオはなるほどそういう可能性もあるかと思ったが、それは言わずに、

「海王星の人々だけである」と返答している。

「ならば、そこでなんらかの原因で、幻覚や集団催眠のようなことが起こっている可能性があります」

 ガリレオの予想通りの返答だったが、では対処をどうすればよいか悩んでしまった。新たに調査隊を送っても原因がわかっていないのだから、彼らも同じ症状となるかもしれない。そこでチロに相談した結果、チロが偵察に行くことになった。


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