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脈流  作者: 智路
4 シンクロニシティ
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第1話 異変

第1話 異変

 第3章の物語の内容が題名から外れてしまった理由は、思いもよらず原子核に触れてしまったせいであった。章の始めの予定では人類(主として桃九)が進化していく過程を書くつもりだったが、内容は「人類の進化」ではなく「人類の進歩」となってしまった。しかし、異変とは、このことではなく人類が太陽系の星々に移住した結果、人類の滅亡に繋がる事件の始まりのことである。と、章の題名と内容が一致するようにここに宣言しておきたい。

 2015年には、世界の人口は72億人を超えていた。地球共和国ができる前には、ここ数年の人口増加は年に2億人と見込まれていたが、地球共和国の成立により戦争は僅かに局地的に起こるだけであり、貧富の差も急激に狭まったため出生-死亡の数が増え、年に2億8千万人の増加が見込まれるようになった。これに拍車をかけたのがチロの要望で、出生を増やすように耶律楚材に脅迫まがいの要求を突きつけている。チロは自分の願いに叶う能力を持つ人類の誕生を望んでおり、そのためには多くの出産が必要と考えたのであった。

 出生抑制禁止法や出生奨励法が施行され、2020年には100億人を超す人口となってしまった。貨幣流通禁止法が施行され世の中にはお金というものが存在しなくなった代わりとして貨幣交換法が施行されているが、ここでは触れないでおくこととする。結果として、相場がなくなり食料はどの地域でも大量に生産できることになり、食料は基礎値+付加価値という形で地球共和国が対価を支払う仕組みになっていた。この基礎値に相当する食糧は人類全てに無償で供給されて飢えて死亡する人はほとんどいなくなっていた。食料の生産量は、科学技術の進歩と相まって数倍に増えたため食糧危機を迎えることはなかったのである。

 問題は、都市構成や土地にあり、都市の人口密度は急激に高くなり治安にも影響がでてきた。このため他の星のコロニーへの移住が奨励されて2030年には、移住者は2億人にも達していた。核融合炉は核コロニーに建設され、エネルギーの心配はなく、資源で足りないのは金属だけとなっていた。その金属も各星から次々と鉱山が発見されてその採掘だけが問題となっていた。この頃には、人類の誰にも重労働は課せられず、ロボットが行うようになっていたが、このロボットの生産が間に合わないでいた。つまり、ロボットさえ大量に生産できれば万事が上手くいくように思われた。

 現在(2030年)冥王星にコロニーの建設が始まっていた。冥王星は、半分がメタン(炭化水素)の氷が多く、半分が窒素と一酸化炭素の氷が多い。このことはコロニーの建設にさほど影響を与えなかったが、この半分に分かれた領域の境目で不可解な事件が数度起きた。それは、ロボット操作の従事者が神隠しのように忽然と消える事件であった。最初の事件のときは事故だと思ったらしい。なんらかの事故により従事者が宇宙空間に放り出されたものだと思ったと報告が届いていた。この事故の調査中に第2の事件が起きた。これも人が忽然と消える現象で、事故の調査班は、冥王星開発本部のある海王星に応援を頼んだ。この時から事件である事故は頻発するようになった。人間の数が増えると事件は指数的に増える傾向にあったのだ。

 結局、第1の事件から半年後、冥王星から人の姿は見えなくなる。残った3人の調査員だけが、海王星にたどり着くこととなってしまった。


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