第16話 原子核グラフ
第16話 原子核グラフ
この話では仮想的に原子核内部を拡大し、陽子と中性子の大きさ(形状を球としたときの直径)を10mとしたい。尚、電子は大きさ0として扱いたい。また、現在の科学では核力が及ぶ距離を10m(拡大時)としているため、それを受け継ぎたい。この前提から考えると複数の陽子と中性子を持つ原子核では隣接する陽子と中性子にのみに核力が働くことになる。つまり、前話の命題である原子核の内部は完全グラフなのであろうか?はNoという結論が出る。
原子核内部の相対座標を単純な立体直角座標系としたとき、中心を陽子と中性子の持つ相対座標の重心とする。単純な平行移動になるが、中心の座標を(0,0,0)とする。簡単のために中心には必ず陽子が存在する(周期的に中性子に変換される可能性がある)。前述した隣接とは、陽子または中性子の中心同士が核力の及ぶ10m以内なのであろうか。そうすると、隣接ではなく密接状態となってしまう。例えば陽子と陽子が密接する場合、クーロン力の斥力によって僅かでも密接状態が崩れると、核力が失われてしまうことになるので、隣接とは陽子または中性子の外縁同士が10m以内のこととしておきたい。そうすると陽子または中性子の中心同士の最大距離は20mとなる。
ここで、筆者は直径20mの球体の表面に最大何個の球体が存在できるか調べてみた。計算するのが難儀だったので調べたのだが、まだ答えは見つかっていないようである。これは大きな問題ではなく、最大数がわかっても、やはりクーロン力や電子の交換で隙間ができるはずなので、意味を持たないのである。これ幸いにと筆者のアイディアを述べたいが、中心の陽子に隣接する陽子の最大数は電子殻の規則に従うと考える。中性子の最大数の規則は思い浮かばないのでとりあえず陽子数+αとしておきたい。
さて、暫く悩んだが、この段落の話はここだけのこととしたい。筆者はプロローグでも述べたようにエネルギーを持つのは、核力やクーロン力そのものであり、質量や電荷はそのエネルギーの相互作用による見かけの存在であるということを主張したいのである。が、そうするとこの物語自体が支離滅裂の内容となり破綻するのは必定であるため、質量⇔エネルギーの等価原理で物語を進めることとした。
さて、陽子や中性子の位置が電子殻の規則に従う必要はないし、どの位置に配置されても核力の及ぶ範囲なら問題はないと考える。しかし、電子殻の規則に従っても問題はないはずである。自由位置を許してしまうと陽子や中性子をノードとしたグラフの可能性が無限に近く存在してしまうので、これも物語の破綻となる。故に少しは考えやすい電子殻の規則を持ち出したのである。そうするとエッジの数が少なくなるし、ノード間の距離も設定しやすい。つまり、原子核の理論をグラフや組み合わせの庭で考えたいということである。
この話の最後に補足すると、核内における陽子と中性子の間の電子交換は、ベータ崩壊-(中性子が電子を放出し陽子になる現象)と電子捕獲(陽子が電子を捕獲して中性子になる現象)と似ている。ただニュートリノなどを考慮すると、筆者の頭の中が混乱するので電子の交換だけにした次第である。また、核内における電子交換が複数個所で起きることが考えられるため、質量は時間と共に微妙にそして複雑に変化する。尚、電子交換によるエネルギーが周期内の最大値か最小値に近くなり核力の及ぶ範囲を超えたとき、放射性元素の性質が現れるのだと考えている。