第14話 質量と核反応
第14話 質量と核反応
E=mc^2という有名な式が存在し、この式から核反応の科学技術が生まれたとされている理由は、この式が質量とエネルギーは等価だということを示しているからである。そして、核反応には核分裂反応と核融合反応が存在する。
始めに核分裂反応を調べてみると、例えば次のようなことらしい。
U(235)+n → Y(95)+I(139)+2n
この式は、ウランに中性子(n)を吸収させたときの反応であり、イットリウムとヨウ素に分裂することを表している(中性子2個は放出され電離放射線となる)。U(235)は、陽子92個+中性子143個を持つウランであり、nは中性子1個であるから、式の左辺の陽子と中性子の合計は236個となる。Y(95)は、陽子39個+中性子56個を持つイットリウムであり、I(139)は、陽子53個+中性子86個を持つヨウ素を表す。それに中性子2個(2n)を加えると式の右辺の陽子と中性子の合計は236個となる。つまり、陽子と中性子の数は変化しない。ではどこからエネルギーが生まれるかというと結合エネルギーがそれである。この例では、ウランがイットリウムとヨウ素が結合したものであり、その結合エネルギーが放出されたと考えると分かり易かった。E=mc^2が示すのは、ウランの形態のときの結合エネルギーは質量化していて、分裂するとその質量がエネルギーとして放出されるということである。
核融合の例としてD-T反応を次に示したいが、筆者の理解が正しいか疑問である。
D+T → He(4)+n
Dは重水素であり、陽子1個+中性子1個を持つ。Tは三重水素であり、陽子1個+中性子2個を持つ。すると式の左辺の陽子と中性子の合計は5個となる。He(4)は、陽子2個+中性子2個を持つ。nは中性子1個であるから、式の右辺の陽子と中性子の合計は5個となりやはり合計数は変化しない。ならば何処からエネルギーを抽出するかというと、それは中性子(n)からである。放出される中性子は高速中性子と呼ばれ高いエネルギーを持つからこれをNEとしておきたい。陽子2個と中性子2個からHe(4)を作るときに必要な核子の結合エネルギーをHEとしておく。すると核融合で得られるエネルギーは上記の式1つあたりNE-HEとなる(はずである)。
ここで1つの疑問を持ってしまった。中性子が放出されるのと、Heが生成されるのとどちらが先なのだろうか?仮に中性子の放出が先だとすると、核子の結合エネルギーの分を差し引いたエネルギーで放出されることになる。Heが生成され核子の結合エネルギーを使った後に残ったエネルギーを持って中性子が放出されると考えたほうが簡単であると思う。と、ここでまた1つの疑問が生まれる。では結合エネルギーと放出された中性子が持っていたエネルギーとの合算エネルギーはどこに存在していたのであろうか?もし反応において核子が生成されなければその分のエネルギーも抽出できるのではないかと考えてしまったのである。
核分裂反応の式を最初に見たとき、核融合反応はエネルギーを逆に吸い取るのではないかと考えた。つまり上記の式のnが高速中性子でなければそうなるはずなのである。ここで部分(陽子や中性子)と全体(核子)の間に創発現象が起こっているかもしれないと想像する筆者であった。