第11話 現代
第11話 現代
21世紀の日本を眺めてみると、グローバル化を旗印としてから数十年の歳月が経過したようであるが、筆者の目からは経済活動以外に目立った進展は感じられない。グローバル化を念頭においた法案なのかわからないが、集団的自衛権に関する法案が2015年の夏ごろに物議をかもしていた記憶がある。筆者はそのころから仕事が忙しくなりニュースを見る暇もなくなったが、今(2015年11月)ネットで調べてみたら法案はまだ可決されていないようである。当初、この法案を目にしたとき「この法案は戦争が起こることを前提にしていて、日本はそれに参加できるような法律を整備したいのだ」と思ったものである。国会の首相の答弁を聞いていると、日本は戦争に巻き込まれず、安全であるとのことであったが、戦争が起これば日本が担う兵站が直接的な攻撃を受けることは明らかだと感じ、首相の答弁に不信感を抱いたと記憶している。
筆者の主張としては、日本は永世中立国になるべきだと信じている。実際問題としては、国内に駐留する米軍との関係や近隣諸国との関係で非常に難しい選択だと思っているが、この主張に真向から反対するような集団的自衛権など論外だと思っているところである。永世中立国として周辺国等の承認を受けた国や宣言を行った国が世界に数カ国存在する。中でも、筆者が感心するのはスイスが南北朝鮮の境界線で60年間にわたり監視を続ける軍隊を派遣していることである。現在では軍隊を構成するのは僅か5人の将校だけだそうである。軍事力は皆無といってよく、軍事的には象徴的な存在であるが、これこそが、日本が対外的に戦闘行為を放棄していますと主張するために見習う手本ではないだろうか。
2006年12月,国連総会で障害者権利条約が採択されてからおよそ7年後の2014年1月20日,日本はこの条約を批准した。2008年4月3日までに中華人民共和国、サウジアラビアを含む20ヵ国が批准したことや、日本が批准したのは100国以上が批准した後であることを考えると日本は、先進国の仲間ですと胸をはって言えるのか疑問である。この批准に先立ち2013年4月1日に障害者総合支援法が施行されている。病院に行き障害であると診断されれば簡単に障害者の等級をもらえるのだが、この等級はあまり役に立たない。日本にはもう1つの障害者等級が存在していて、おそらく年金法のようなもので定められているのだと思うが、この等級は程度によって障害者年金を受給することができる。労働機会の少ない障害者にとってこの障害者年金は生活していくための重要な収入源となるのだが、障害者総合支援法によって障害者等級をもらい、障害者年金を受給するための等級をもらえない人が多く存在する。つまり、お金の面で生活が困難となる。この政策が障害者のためだとは思えないのだが、どうしようもないのも現実である。
このように、現代の日本は中途半端な先進国と呼ばざるを得ない。国内の日本人である筆者がそう感じるのであるから、海外の人々から見れば日本を先進国扱いするのは唯一経済のためだけであろうと思う次第である。
と、このような筆者の日本観や世界観がこの物語の背景の1つとなっているのであるが、次章からは、上述したこととはかけ離れた物語となっていく。筆者はこの物語によって現実から逃避したいのかもしれない。