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脈流  作者: 智路
1 プロローグ
13/114

第12話 円光の招き

第12話 円光の招き

 藤部総本家に帰った桃九は、精太郎に報告をしていた。

「わたしはなにやら思い違いをしていたようです」

「なに、では今までのことは無駄じゃったのか?」

「いいえ、より進展したと言ってもいいかもしれません」

「うん、どういうことじゃ」

「やり方を代えるということです」

「ふむ、どうすればよい?」

「兄者の精神を強く鍛えます」

「わしの精神力が弱いというのか?」

「いいえ、強さの方向が違うといったらいいでしょうか」

「う~む。なにやらよくわからんが、具体的にどうすればよい?」

「高野山から一人の高僧をここに迎えたいと思います。そして、その方のもとで修行をしてもらいます」

「なに、坊主になれというのか?」

「いいえ、それも違います。あの高僧にも何も話しておりません。あの高僧を騙すようですが、ここに一度迎えて、話をしたいと思います。そのときのために修行場を用意して欲しいのです。幸いこの近くに八葉山天台寺があります。おそらく、この辺りは霊場に適した場所なのだと思います。しかし、問題があって、天台寺は天台宗、あの高僧は真言宗です。そこいら辺の折り合いをどうつけたらいいのか、わたしにはわかりません。兄者は天台寺と繋がりはありますか?」

「おう、天台寺には毎年まとまった布施をしておるから、あそこの住職はわしの話なら聞くじゃろう」

 このように話が進んで、桃九は再び高野山に向かった。利助は円光のもとにいるから、利助の紹介で桃九は円光と面会することになった。

「利助、このわしの前に人ならざるものを連れてくるとはどういう了見じゃ?」

「待ってください。一度だけ話を聞いてもらえませんか」

 円光も目の前の者に悪意もないし、邪悪な存在でもないことを見抜いていたため一度だけならと話を聞くことになった。かくかくしかじかと話す桃九の言葉に頷いたり、驚いたりしていたが、

「わしに、その話を信用せよというのか?」

と、修行を積んだ円光といえども顔を真っ赤にして怒り出さんばかりになった。しかし、目の前にいる者が人ならざる者と断じたのは円光である。つまり、円光の怒り様は自分に対してでもあったのだ。おかげで桃九は追い出されることもなく、円光になにかしらの証左を示せばよいということになった。

「チロ、この人と接触できる?」

「この方には受け皿がないので……。直接接触してみましょうか?」

 すると、円光の頭の中にチロの声ならざる声が響いた。こうなると円光も全てではないが、桃九の話を信じるようになった。

「わしはこれからどうすればよい?」


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