第10話 拉致決行
第10話 拉致決行
トランティスに帰ったゴクウは、セイタンと面会した。
「どうだ。アンドロメダは?」
「まあまあですね。でも退屈してきたからちょっとだけの帰省です。何箇所かぶらついたらまたアンドロメダに戻ります」
「そうか」
そのゴクウは本当に何箇所かぶらついてナザイギアのもとへと向かった。一方セイタンは、(あいつはいい加減なやつだからうるさくない。そのうちアンドロメダに戻るだろう)と全く警戒心を持っていなかった。
「なんだと!クーデター?」
「あなた、落ち着いてくださいな」
「し、しかし国王にも少しは恩義が残っているし、なによりセイトさんを裏切るわけにはいかん」
「あなた、ゴクウ様の話を聞いていなかったのですか?そのセイトさんが、クーデターの首謀者ですよ」
「し、しかし……」
「この話を信じないということは、ゴクウ様ばかりでなく、サンガ様も信じないということですからね」
「し、しかし……」
「あなたの脳みそと胴体がつながっているのが、誰のおかげか思い出して御覧なさい」
「わ、わかった。クーデターは起こす。いや、成功させる。但し、事の終わった後で納得できなければ、自分で自分の脳みそと胴体を切り離す。それでよいな、妻よ」
「はいはい。そのときはわたしも手伝ってさしあげますよ」
ゴクウはナザイギアが味方についたことをサンガに知らせ、セイトだけが知る場所に太陽の座標位置を記した。記したのは超人類を数字に見立てた符牒であった。超人類を知らないセイタンには解けない符牒である。後は、セイトがセイタンから精神の支配を奪い、太陽に飛んでからクーデターの開始となる。
やがて、そのときがやってきた。待ち構えていたチロはセイトを太陽の監獄に閉じ込めて封印をしてからトランティスに飛んだ。精神の支配を奪ったセイトは拉致予定者に国王の間に集るように命令を出していた。拉致予定者がいくら能力が高いとはいえチロの相手ではなかった。この拉致予定者の収監場所は冥王星であった。その収監場所は医療施設も完備されていて、常にチロの調合した酵素を投与されることになる。その酵素は強力な精神安定剤であった。
※お詫びと予告※ この章をもって、第1部を完結させたいと思います。引き続き第2部を「脈龍RW1」として投稿したいと思います。尚、「脈龍RW1」の第1部として脈流1章分を1部分としてリライト(1回目)して載せています。読者の方にはご迷惑をおかけしますが、ここでお詫びと第2部の予告をしたいと思います。